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企業・団体による政治献金禁止を求める議長声明
 当部会は、2024年6月30日総会において、企業団体献金の禁止、企業団体による政治資金パーティーの禁止を内容とする政治資金規正法改正を求めて、「改憲を許さず、政治資金規正法の抜本改正を行い健全な民主政治を取り戻すことを求める決議」を挙げた。

 今般、2025年第217回通常国会において、複数の野党から企業・団体献金等を禁止する法案が提出されているところであるが、与党はこれに抵抗し、企業・団体献金を温存する立場を維持している。自民党の一部政治家は企業には献金の自由があるなどとして50年以上前の八幡製鉄所事件最高裁判決(1970年6月24日)をしばしば引用するが、同判決は、「弊害に対処する方途は、さしあたり、立法政策にまつべきことであつて、憲法上は、公共の福祉に反しないかぎり、会社といえども政治資金の寄附の自由を有する」としているのであって、企業献金による弊害防止策を立法政策に委ね、公共の福祉の観点からの企業献金の制限を容認している。

 実際、同判決後、企業・団体献金をめぐっては、ロッキード事件(1976年)やリクルート事件(1988年)などの汚職事件を契機としてその規制を求める世論が高まり、1993年には旧経団連自身が「企業献金については、公的助成や個人献金の定着を促進しつつ、一定期間の後、廃止を含めて見直すべきである。」と表明し、1994年には政治家個人への企業・団体献金は禁止され、1999年には政治家個人の資金管理団体への企業・団体献金が禁止されるなど、企業・団体献金による金権腐敗政治の弊害に対処するための法改正がなされてきたという歴史的経過が存在する。

 しかし、現状の政治資金規正法では企業・団体による政党・政治資金団体への献金は禁止されておらず、パーティー券の購入という企業献金の「抜け道」も用意されており、大企業が自民党に巨額の献金をすることで事実上政策を左右することが行われてきた。経団連は、自民党の政策を高く評価した上で、会員企業に対し、「自由主義経済のもとで企業の健全な発展を促進」する観点での政党への献金を呼びかけ、これが結果として会員企業による自民党に対する多額の政治献金やパーティー券の購入に結びついている。会員企業は献金先に様々な政策要求を出してその実現を求め、政府の経済財政諮問会議議員に就任して直接政策に影響を与えている。
 その結果、法人税減税や消費税増税、社会保障費削減、原発推進など、市民の生活や人権よりも大企業の利益を優先する政治が長年にわたり続いてきた。

 更に、安全保障問題に関しても、経団連は2022年4月12日に「防衛計画の大綱に向けた提言」を発表して防衛産業の発展や武器輸出の推進を求め、自民党の資金管理団体に多額の献金をした企業が政府の有識者会議のメンバーとなって防衛政策に関与する一方で、政府から多額の防衛装備品の発注を受けるという構造があり、日本国憲法の平和主義が脅かされている。

 そもそも、政党や政治団体に対して金員の寄付をするかどうかは、選挙における投票の自由と表裏をなすものとして、個人が市民としての個人的な政治的思想、見解、判断等に基づいて自主的に決定すべき事柄である(1996年3月19日南九州税理士会事件最高裁判決)。企業・団体が多額の献金をすることで政治を左右している現状は、日本の議会制民主主義を歪めるものであるとともに、企業・団体を構成する個人(株主や労働者等)の政治的信条を侵害するものであって、日本の政治にもたらしている弊害の大きさを踏まえれば、公共の福祉の観点から、今こそ企業・団体献金の禁止に踏み切ることが必要である。

 以上により、当部会は、今国会において企業団体献金の禁止と企業団体による政治資金パーティーの対価の支払の禁止を内容とする政治資金規正法の抜本改正を求めるものである。
2025年3月26日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
議 長  笹 山 尚 人
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