律家会弁護士学者合同部会
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ハマスの人質解放、イスラエルのパレスチナ・ガザ地区への攻撃の即時停止
及びガザ地区の解放を求める決議
1 ハマスによる軍事行動とイスラエルによる大規模攻撃
 2023年10月7日、イスラエル軍が軍事占領を行っているパレスチナ・ガザ地区に拠点を置く組織ハマスが、イスラエル市民に対して無差別攻撃を行った。この攻撃とイスラエル軍の応戦により、現在までに1200人以上が殺害され、数百人のイスラエル人や外国人が拉致されたとされる。こうしたハマスの行為は、罪のない一般人を殺害するテロ行為そのものであり、国際法にも違反する行為で、断じて許すことは出来ず、強い非難に値する。
 これに対して、イスラエル軍はガザ地区への大規模な空爆を開始した。イスラエル軍による攻撃は、イスラエル占領下で行われた2007年のガザ地区封鎖以来最大規模のものであり、ガザ地区を完全封鎖した上で学校・病院・難民キャンプ等も無差別に攻撃した結果、1万1000人を超える死者が出ている(同年11月14日時点でのガザ地区保健当局の発表。)。この死者には多数の民間人が含まれる上、4600人以上の子ども、100人以上の国連スタッフが犠牲となっている。
 当部会は、ハマスの無差別攻撃、イスラエルのガザ地区空爆によって犠牲となった人々に深い哀悼の意を表明する。

2 イスラエルによる攻撃は国際法違反である
 イスラエルは、自衛権の行使を理由として、大規模攻撃の正当性を主張している。しかし、イスラエルによる今回の攻撃は、自衛権によって正当化することはできず、国際法違反の疑いが極めて強い。
 まず、ガザ地区を含むパレスチナは、国際法上イスラエルの占領地域に当たる(パレスチナの壁事件における2004年7月9日ICJ勧告的意見)。ハマスはイスラエルの占領地域内に存在する武装組織であり、国家による武力攻撃を前提とした国連憲章第51条の自衛権を、イスラエルが行使することはできない。
 また、イスラエルによる自衛権行使が認められるとしても、ガザ地区への攻撃は国際法上求められる必要性・相当性を大きく超えており、自衛権の行使としても違法である。
 さらに、イスラエルによるガザ地区の完全封鎖と無差別攻撃は、ガザ地区の市民という集団の少なくとも一部を「集団それ自体として破壊する」意図をもって行われている疑いが極めて強く、ジェノサイド条約で禁止されたジェノサイドに当たる可能性が高い。イスラエルの自衛権が認められるとしても、ジェノサイドは国際法上許されない。
 このように、イスラエルによる攻撃は国際法違反である。

3 イスラエルに対する国際的な批判
 イスラエルに対しては、イスラエルに親和的とされる欧米も含む世界各地の市民から抗議の声が上がっている。
 国連安全保障理事会においても、当初は拒否権を行使していたアメリカが拒否権を行使しなかった結果、2023年11月15日、イスラエルとハマス双方に戦闘の緊急かつ人道的な中断を求める安保理決議が採択され、日本も賛成した。
 このように、イスラエルに対する国際的な批判は強まっており、国際社会は停戦を求めているといえる。

4 暴力の連鎖は許されない
 一方、ハマスは、100人を超える人々を人質として拉致しており、イスラエルからの新たな空爆があった場合には、事前通告なしに人質を処刑するとの声明を発表している。これ以上の暴力の連鎖、戦闘の拡大、人々の犠牲は断じて認めることができない。

5 即時停戦及び占領の解放を求める
 前記のように、イスラエルによるガザ地区への攻撃は国際法違反であるから、イスラエルは即時停戦に応じ、ガザ地区の封鎖を解除すべきである。一方、ハマスは、人質を即時・無条件で解放すべきであり、双方が、即時の停戦を行うべきである。
 また、日本は、憲法前文で「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」した国である。日本政府には、パレスチナ問題に関して欧米とは一線を画した独自外交を展開してきた実績を活かし、アメリカに追従することなく、憲法前文に基づいて即時停戦に向けた外交努力を追求することが求められている。
 当部会は、イスラエル・ハマスの双方に対して、停戦の即時実現を求めるとともに、イスラエルに対しては、すべての元凶となっているガザ地区、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区の占領を、直ちに停止することを求める。そして、日本政府に対しては、即時停戦に向けたあらゆる外交努力を行うことを求めることを、ここに決議する。
2023年12月2日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 3 回 常 任 委 員 会
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