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国民生活の破綻を招き、平和主義に反する、
安保関連三文書改定に基づく軍拡政策に反対する決議
1 政府・与党による軍拡政策の推進
 2022年12月16日、政府は、安保関連三文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)の改定を閣議決定した。この改定は、軍事費(防衛関係費)を今後5年間で計43兆円へと大幅に増額することが明示された上、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を容認するものである
 これを受けた2023年度予算案では、「防衛費」として6兆8219億円(前年度から1兆4200億円増額)、「防衛力強化資金」を新設して3兆8300億円を計上しており、その合計は10兆6519億円(予算案全体の9.3%)にも上る。
 このように、政府・与党は現在、日本の安全保障政策を大きく転換し、軍拡を推し進めている。

2 軍拡政策は平和主義に反する
 当部会が2022年6月26日付け「軍事費拡大および敵基地攻撃能力保有に反対する決議」で述べたとおり、肥大化した予算規模の自衛隊は、仮に政府見解に基づいたとしても、「自衛のための必要最小限度の範囲」を大きく超える「戦力」に該当し、憲法9条2項に違反する。
 また、今回の軍拡が周辺諸国との緊張関係を強めることも明らかであり、かつての侵略戦争の反省に基づいて平和主義を定めた憲法前文及び憲法9条の理念に反する。
 そして、上記決議および2020年9月5日付け「日本の敵基地攻撃能力の保有に反対する決議」で繰り返し述べたように、改定後の安保関連三文書が容認した敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有は、憲法9条2項が禁ずる「戦力」や憲法9条1項が禁じる「武力の行使」に該当し同項に違反する上、政府がとってきた「専守防衛」政策を放棄するものである。
 さらに、赤字国債を財源とする今回の軍拡は、第二次大戦の反省から赤字国債の発行を禁じ、財政面から平和主義を保障した財政法4条の理念にも正面から反している。
 このように、政府・与党が進める軍拡は、憲法や財政法が定める平和主義に反するものであり、許されない。

3 歯止めのない軍拡は国民生活の破綻を招く
 政府・与党は、軍事費増額によって生じる毎年1兆円の財源不足を、所得税・法人税・たばこ税の増税や国債などによって賄う方針を表明している。軍拡のための増税が、物価高騰で苦しむ国民生活をさらに圧迫するのは明らかである。
 また、軍事費の確保を優先する結果、今後、社会的弱者の支援等の国民生活に直結する政策の予算が、実質的に削減されることが容易に予想される。
 そして、軍事費増額のための増税については、いずれの世論調査においても反対が賛成を大きく上回っており、国民は政府・与党の方針を容認していない。
 政府・与党の軍拡政策は、盲目的に軍事を優先することによって国民生活を破綻させるものであり、国民の生命・自由・幸福追求の権利(憲法13条)や生存権(憲法25条)を侵すものとして許されない。

4 結論
 自民・公明連立政権は、集団的自衛権の行使容認(2014年)や戦争法(安保法制)の成立(2015年)以来推進してきた日本の軍事化を、国民生活を顧みることなく、さらに急速に推し進めようとしている。
 しかし、かつて行った侵略とその後の敗戦、戦時下での国民の困窮への反省から、日本は憲法に基づく平和国家となったはずである。日本政府は平和主義に基づき、あくまでも外交努力によって国際秩序の獲得を目指す義務を負っている。
 当部会は、安保関連三文書の改定に基づく軍拡政策に対して強く反対し、2023年度国会における軍事費増大の予算案成立の動きを注視し、軍拡政策の推進を防ぐための活動に専念することをここに決議する。
2023年3月11日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 4 回 拡 大 常 任 委 員 会
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