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アメリカの核実験、ロシアの核威嚇、日本国内の核共有の動きに
抗議するとともに、日本国の核兵器禁止条約参加を求める決議
 本年1月3日、国連安保理の常任理事国で、核保有国であるアメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリスの5か国は、核戦争や軍拡競争を防ぐための共同声明を発表した。
 この共同声明の中で5か国は、「核兵器の保有国どうしの戦争の回避と、戦略的なリスクの軽減が最も重要な責務だとみなしている」としたうえで「核戦争に勝者はおらず、決して戦ってはならない」と強調した。
 そして、「核兵器は、防衛や侵略の抑止、戦争を防ぐという目的のために存在しなければならない。われわれの核兵器は、他のいかなる国も標的としていない」とし、そのうえで、「こうした兵器のさらなる拡散は防がなければならないと確信している。NPT(核拡散防止条約)の義務を果たしていく」「衝突の防止や相互理解の推進のため、2国間や多国間の外交的なアプローチを追求し続ける」と述べた。
 このように、5か国は、軍事的な対立を避けるため、外交的なアプローチを追求する姿勢を示すとともに、核の拡散防止の重要性を訴え、軍縮に努めていく姿勢を強調した。
 また、本年6月21〜23日には、核兵器禁止条約の第1回締約国会議が、オーストリアのウィーンで開かれた。同会議は、批准国・地域の首脳らが、核兵器廃棄の期限や検証措置、核被害者援護の方法などを話し合うものであり、非締約国であるドイツやノルウェーなどもオブザーバー参加した。一方で、唯一の被爆国である日本は、締約国会議に先立ってオーストリアで開かれる国際会議には参加の意思を表明したものの、締約国会議には、オブザーバーとしての参加もしなかった。唯一の被爆国であり、核廃絶に向けて主導的な立場を担うべき日本国政府の対応としては、非常に残念なものである。
 このような動きの中、アメリカのバイデン政権は、2021年6月22日と9月16日に西部ネバダ州において、核爆発を伴わない臨界前核実験を行っていたことが判明した。バイデン政権が臨界前核実験を行ったのは初めてのことであった。バイデン大統領は、「核のない世界」の理念を引き継ぎ、核軍縮に前向きな姿勢を示しているとされていたが、核兵器の近代化に必要とされる臨界前核実験を実施した形である。
 一方、本年2月24日にウクライナに侵攻したロシアのアレクサンドル・グルシコ外務次官は、5月10日、ウクライナに対する先制的な核攻撃を排除するかとの質問に対し、ウクライナに対する先制的核攻撃の可能性を排除せず、「我々には軍事教理がある。ここにすべてが明白に書かれている。これは他の解釈を提示しない」と述べた。ここで外務次官が述べた公式の軍事教理とは、ロシアが核兵器攻撃または大量殺傷兵器攻撃を受けたり、ロシア国家が通常兵器によって存立を脅かされる場合、核兵器を使用できるという内容である。
 このように、アメリカは核実験を推し進め、ロシアも核兵器によるウクライナ攻撃の可能性を排除しないとの姿勢を示した。このような姿勢は、本年1月3日に発表された、アメリカ、ロシアを含む5か国声明の趣旨に反するものであり、当部会は厳重に抗議する。
 そして、日本においても、安倍晋三元首相は、ロシアがウクライナに軍事侵攻したことを受けて、NATOの一部が採用している「核共有(核兵器の同盟国間での共有)」について、日本でも議論をすべきだとしている。また、高市早苗自民党政調会長は非核三原則の一つ「持ち込ませず」について、「有事の時に持ち込ませずというところを自民党内で議論したい」と発言した。すなわち、自民党は、核兵器を、日本国内に配置するか、少なくも有事には国内への持ち込みを可能にすることにしようと提案しているのである。
 上記のような核共有は、「核兵器又はその管理」の移譲及びその受領を禁止した日本も加入しているNPT(核拡散禁止条約)に反するだけではなく、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」とした非核三原則にも反するものである。
 唯一の被爆国である我が国は、多大な戦争の犠牲から生まれた憲法9条の理念を踏まえ、核兵器廃絶に積極的な役割を果たすべきである。そのため、当部会は、上記のような核共有の動きに対して断固抗議するともに、日本政府に対し、核兵器禁止条約に調印し、核兵器保有国と非保有国の橋渡しの役割を担い、核兵器保有国が本条約の枠組みに参入するよう働きかけることを強く求めるものである。
2022年6月26日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 5 3 回  定  時 総 会
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