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軍事費拡大および敵基地攻撃能力保有に反対する決議
1 軍事費拡大および敵基地攻撃能力の保有に政府・与党の向けた動き
 2022年4月26日、自民党は「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」を策定した。同提言は、軍事費(防衛関係費)を5年以内に対GDP比2%以上へと増額することを求めている。また、敵基地攻撃能力を「反撃能力」と言い換えたうえで、「相手国のミサイル基地」だけでなく「相手国の指揮統制機能等」をも対象として攻撃する能力の保有を求めている。
 その後、2022年6月7日に閣議決定された「骨太の方針2022」では、「国家安全保障の最終的な担保となる防衛力を5年以内に抜本的に強化する」という文言が盛り込まれたうえ、敵基地攻撃能力の先取りとして「スタンド・オフ防衛能力」の強化も明記されている。
 公明党も現在、軍事費の増額を容認する姿勢を示している。

2 軍事費の大幅拡大は平和主義・立憲主義に反し、許されない
 対GDP比2%になった場合の軍事費は、現状から約5兆5000億円上積みした約11兆円となる。この金額は、軍事費として世界3位の規模である。自衛隊がこのような規模の実力組織となれば、仮に政府見解に基づいたとしても「自衛のための必要最小限度の範囲」を大きく超えており、憲法9条2項が保持を禁止する「戦力」に該当すると言わざるをえない。
 また、かつては侵略国家であった日本がこのような大規模の軍事力を保有することは、北東アジア諸国をはじめとする周辺諸国にとって軍事的脅威となる。そうすると、周辺諸国との間で外交上の緊張が高まり、更なる軍拡競争を誘発することで、かえって北東アジアにおける安全保障環境が悪化することは必至である。日本がこのような結果を招く軍拡を行うことは、平和主義を定めた憲法前文及び憲法9条の理念に反する。
 さらに、軍事費の大幅な拡大は財源の問題を無視している。政府与党は、約5兆5000億円もの追加の予算の財源を全く示せていない。仮に国債発行で賄うとすれば、赤字国債で軍事費を調達したかつての大日本帝国に回帰するに等しく、財政における立憲主義に反する。
このように、軍事費の大幅拡大は、憲法が定める平和主義や立憲主義に反するものであり、許されない。

3 敵基地攻撃能力の保有は憲法違反である
 当部会はすでに、2020年9月5日常任委員会において、敵基地攻撃能力の保有に反対することを決議している。
 同決議で述べたとおり、敵基地攻撃能力の保有は憲法9条2項が保持を禁ずる「戦力」に該当し、違憲である。また、相手国のミサイル基地や都市部を含む「指揮統制機能等」を攻撃することは、憲法9条1項が認めない「武力の行使」そのものである。
 さらに、敵基地攻撃能力は「反撃能力」と呼べるようなものではなく、日本による先制攻撃を可能にするものである。しかも、戦争法の成立により、集団的自衛権の行使として行われる可能性もある。敵基地攻撃能力の保有は、政府がとってきた「専守防衛」政策を放棄するに等しい。
 このように、敵基地攻撃能力の保有は憲法9条に違反するものであり、許されない。

4 結論
 集団的自衛権の行使容認(2014年)や戦争法の成立(2015年)以来、自民・公明連立政権は日本の軍事化を推進してきた。そして、ロシアのウクライナ侵攻による国内の危機感や不安感に乗じて、更なる軍拡を進めようとしている。
 しかし、かつて行った侵略とその後の敗戦への反省から、日本は憲法に基づく平和国家となったはずである。日本政府は平和主義に基づき、あくまでも外交努力によって国際秩序の獲得を目指さなければならない。
 当部会は、軍事費の大幅な拡大と敵基地攻撃能力の保有に対して強く反対することをここに決議する。
2022年6月26日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 5 3 回  定  時 総 会
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