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ロシア連邦によるウクライナに対する軍事侵攻等に抗議し、
軍の即時撤退を求めるとともに、ニュークリアシェアリング等の憲法9条の
破壊をもたらす策動に反対する決議
一 
(1)2022年2月24日、ロシア連邦がウクライナに対する軍事侵攻を開始した。ロシア連邦軍の攻撃に対してウクライナ側も反撃し、既に双方の軍に多数の死傷者が出ているほか、ロシア連邦軍の攻撃は、ウクライナの首都キエフをはじめ軍事施設以外の市民の居住地域にも及び、市民にも多数の死傷者があらわれる事態と報道されている。
 また、ロシア軍は、3月4日、ウクライナ南東部にあるヨーロッパ最大規模の原子力発電所であるザポリージャ原発を掌握しており、施設が損傷した場合の放射性物質の拡散が懸念されている。
ロシア連邦のプーチン大統領は、「現代のロシアは、今や世界でも最も強力な核保有国の一つだ」「ロシアへの直接の攻撃は侵略者の壊滅と悲惨な結果につながる」と発言している。

(2)いうまでもなく、戦争は、罪のない多くの市民の生命を奪い、平穏な生活を脅かす最大の人権侵害である。
 そして、ロシア連邦によるウクライナ侵攻は、国連憲章の諸原則に違反するまぎれもない侵略行為であり、国際法に違反する行為であって到底許されるものではない。
 さらに、プーチン大統領の発言は、核兵器大国であることを誇示してこれをもって威嚇する姿勢である。この発言は、武力による威嚇又は武力の行使を禁止した国連憲章2条4項に反するものであり、容認できる発言ではない。

(3)当部会は、ロシア連邦に対し、この度のウクライナに対する軍事侵攻及び上記プーチン大統領の発言に厳重に抗議するとともに、軍の即時撤退と速やかな被害回復に向けた取り組みを行うことを強く求める。
 また、現在、我が国の国内はもとより、全世界で、平和を求める市民の活動が広がっているが、当部会はこれらの活動を支持し、連帯することを表明する。

二 
(1)一方、今回のロシア連邦によるウクライナ侵攻に関して、安倍晋三元首相が、2月27日放送のテレビ番組にて、アメリカの核兵器を自国領土内に配備して共同運用する核共有政策について、ドイツやベルギーなどNATO加盟国の一部がニュークリアシェアリングを採用しているとして「世界の安全がどのように守られているのか。現実の議論をタブー視してはならない」と発言した。
 これを受けるかのように、3月1日には、自民党の福田達夫総務会長が1日の記者会見で、「国民や国家を守るのであれば、どんな議論も避けてはいけない」と表明した。
 与党の政治家が、「共同運用」という形であれ核兵器の保有を容認して非核三原則を破ることを検討している発言をしていることは重大である。
 さらに、日本維新の会は、3月3日、「核共有(ニュークリア・シェアリング)の議論の開始」などを盛り込んだ提言をまとめ、政府に提出している。

(2)岸田首相は、2021年12月6日の臨時国会の所信表明演説で、「いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討」すると発言している。
 しかし、敵基地攻撃能力とは、それが行使されれば、それは今回ロシア連邦が行った先制攻撃と区分けがつくものではない。
 ニュークリアシェアリングの提言といい、与党は、核兵器の保有を含め、先制攻撃を辞さない軍事態勢作りを意図していると見られる。
 これらは、憲法9条の破壊をもたらす動きそのものである。ニュークリアシェアリングの議論がロシア連邦によるウクライナ侵攻を契機に提起されたことから、ロシア連邦による攻撃を口実に、外国の軍事的脅威をあおってそれを理由に憲法9条を破壊する議論が加速化する懸念があり、そのようなことは断じて許されない。
 このように対外的な危機を煽ることによって、軍拡競争に乗り出すことは、決して国家の安定を意味するものではない。むしろ、軍事的エスカレーションは、地域の情勢を不安定にし、安全保障には資するものではない。ましてや、日本は、憲法9条を保有しており、戦力不保持の原則を規定しているにもかかわらず、このような軍拡競争に乗じることは、許されるものではない。

(3)当部会は、憲法の平和主義、基本的人権の尊重、民主主義の諸原則を発展させ、その一環として憲法9条の発展を目指す立場から、こうしたロシア連邦によるウクライナ侵攻に断固抗議するとともに、こういった外部の動きを契機として、憲法9条を破壊しようとする動きを断固として許さないこと、引き続き憲法の諸原則の発展のために取り組む決意を表明する。

 以上、決議する。
2022年3月5日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
                       第 4 回  常 任 委 員 会
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