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原発汚染水の海洋放出決定に強く抗議し、直ちにその撤回を求める声明
 2021年4月13日、政府は、東京電力福島第1原子力発電所から出る放射性物質(核種)トリチウムを含む汚染水への対応を話し合う関係閣僚会議を開き、保管している汚染水を海洋放出する方針を正式決定しました。この汚染水は原子炉を冷却するために使用され、トリチウムのみならず様々な放射性物質(核種)に汚染されているものです。その放出は早ければ2023年には始まると報道されています。私たちはこの決定に強く抗議するとともに、直ちに決定を撤回することを求めます。

 私たちはさる4月3日、リモート形式で、第5回の「『原発と人権』全国研究・市民交流集会inふくしま」を開催いたしました。事故から10年を経過した福島の現状、被害者の皆さんの状況を確認し、運動の到達点を押さえ、復興の諸課題、そして原子力政策のありようを考えようとしたものです。約700名の参加者が集いました。

 集会では、廃炉のプロセスもテーマとして取り上げられました。

 その中で、技術者からは、汚染水の海洋放出は避けられうるという選択肢が示されました。大型タンクによる長期保管(汚染水の保管場所はまだ十分にある),モルタル固化による永久処分,冷却水に頼らない原子炉の冷却等,いますぐに汚染水を海洋放出しなくてもすむ可能性が十分にあるというのです。

 またトリチウム等が安全であるという保障はなく,科学的に未解明である以上,予防原則に従って,被害の大きさが限定できないほど大規模事故や環境への影響のある行為は,他にどれだけか経済性などのメリットがあっても許されない,不可逆的な(取り返しのつかない)行為は行ってはならない,という指摘もなされました。

 小名浜の漁業関係者からは、これまで10年にわたって試験操業を繰り返し,安全性の確認がなされ,制限のない操業を行い水揚げ量のアップを目指せるところまでやっとの思いでたどりついた現状と、汚染水を海洋放出することによる風評被害と利益の減少、そのことで漁業からの退出者が出ることによる福島県の水産業の衰退の危機などが訴えられました。しかも、東電は福島県漁業協同組合連合会に対して「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と文書で約束しているのです。

 集会でこれらのことを学んだ私たちは、技術者や現場の人たちの声を踏まえて、今回の政府の決定に強く抗議し、その撤回を求めるとともに、脱原発を求める人たちと一緒に廃炉のプロセスを考えていきたいと考えます。
 以上
2021年4月21日
第5回「原発と人権」全国研究・市民交流集会inふくしま実行委員会
実行委員長  礒野弥生
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