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新型コロナ感染防止対策のための司法試験委員会見解に基づき
受験制限をされる司法試験受験生に対する
特別措置の実施を求める緊急声明
1 2020年7月15日司法試験委員会見解

 司法試験委員会は、2020年7月15日、「令和2年司法試験及び司法試験予備試験に係る新型コロナウイルス感染症等の感染防止対策について」を発表した。

 そこには、「4 体調不良の場合」として以下の記載がある(以下、「本件司法試験委員会見解」と言う)。

 「(1)新型コロナウイルス感染症等(学校保健安全法施行規則第十八条で定める感染症をいう。(2)において同じ。)に罹患し,他の受験者等への感染のおそれがある場合(同規則第十九条で定める基準による出席停止の期間を経過していない場合)は,受験できません。
 (2)発熱や咳等の症状などから新型コロナウイルス感染症等の罹患が疑われる場合は,他の受験者等への影響を考慮し,受験を控えていただくようお願いします(試験場に来られても,受験を認めないことがあります。)。
 なお,(1)(2)いずれの場合についても,受験しなかった場合の追試験や受験料返還等の特別措置は予定していません」

2 受験生に対する恣意的な権利制限は許されない

 本件司法試験委員会見解は、「発熱や咳等の症状などから新型コロナウイルス感染症等の罹患が疑われる場合」に「受験を認めないことがある」としている点、そして追試験や受験料返還等の特別措置は予定していないという点で極めて問題である。

 すなわち、発熱や咳等といった症状において新型コロナウイルス感染症及びその他学校保健安全法施行規則第18条で定める感染症とそれ以外の疾病の区別は一般的に困難であるところ、試験場において「症状から罹患が疑われる」と判断されただけで受験を認めない措置がとられてしまえば、長期にわたり準備を重ねてきた受験生にとって極めて酷な結果となる。司法試験法4条1項に基づき受験資格を有する受験生に対しては等しく受験機会が保障されるべきである。不明確かつ曖昧な基準に基づき現場の判断によって受験生の権利を制限する措置を実施することは、司法試験委員会に認められている指示権限(司法試験法施行規則第5条)を逸脱し司法試験法の趣旨に反するものであるとともに、不合理な差別と言わざるを得ず、憲法14条1項(法の下の平等)の趣旨からも決して許されない。

 とりわけ、司法試験受験が5年目の上限にあたる受験生が感染を疑われて受験を認められなかった場合には、試験場の入り口で司法試験の受験資格を失うことになり、結果として法曹資格を得ることが極めて困難になるが、これは職業選択の自由(憲法22条1項)を侵害するものである。司法試験は、将来の司法を担う法曹候補者を選抜するという社会的意義のある国家試験であるが、このような恣意的な受験資格のはく奪により生じる社会的損失は極めて大きい。

 そもそも、感染拡大が続いている状況でも司法試験を実施するという結論に至った以上は、感染が疑われる受験生については別室で隔離した状況で受験させるといった措置をとるべきであり、司法試験の延期が決定された2020年4月8日から今日までそのための準備の時間は十分にあったはずである。そのような具体的措置をとることなく、感染拡大防止の目的のために生じる不利益を恣意的な判断に基づいてすべて受験生に負わせることは、上記のとおり司法試験法の趣旨及び憲法14条1項並びに憲法22条1項の観点から許されない。

3 受験できなかった者・受験回避した者に対する特別措置を行うべきである

 感染拡大を防ぐという目的と、発熱等の症状を有するに過ぎない受験生について前記の権利制限の不利益を科すという手段との間に合理的な関連性はない。むしろ、受験機会の恣意的な一方的剥奪は、感染が疑わしくても名乗り出ない受験生を増やす結果を生み、結果として感染拡大をもたらす危険性の方が高い。感染拡大防止のためには、試験場において感染リスクを減らす物理的措置を徹底してとるとともに、感染症を疑われる症状を有する受験生もしくは試験場での感染を恐れる受験生にとって一切の不利益が生じない措置をとることが必要不可欠である。

 以上より、受験生に対する重大な権利制限を内容とする本件司法試験委員会見解は撤回されるべきであり、司法試験委員会は感染拡大防止のためにさらなる必要な物理的手段を徹底して講じるべきである。仮に、感染拡大防止の観点から感染が疑われる受験生の権利を制限する措置を実施するのであれば、発熱や咳等の症状があることを理由に試験場で受験を拒絶された受験生については、司法試験法4条1項の受験資格を1年延長するという特別の法的措置を速やかに講じるとともに、受験料の返還も行うべきである。また、感染拡大防止と受験生の安全確保の観点から、感染不安により今年の受験を控えることを希望する受験生についても、同様の措置を一律に適用すべきである。
2020年7月31日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
議 長   上 野  格
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