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検察庁法改正案を束ね法案から分離し撤回すること等を求める法律家団体の緊急声明 |
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2020年5月20日 |
改憲問題対策法律家6団体連絡会
社会文化法律センター |
共同代表理事 |
宮 里 邦 雄 |
自 由 法 曹 団 |
団 長 |
吉 田 健 一 |
青年法律家協会弁護士学者合同部会 |
議 長 |
北 村 栄 |
日本国際法律家協会 |
会 長 |
大 熊 政 一 |
日本反核法律家協会 |
会 長 |
佐々木 猛也 |
日本民主法律家協会 |
理 事 長 |
右 崎 正 博 |
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1.はじめに
政府・与党は、検察庁法の一部改正を含む国家公務員法等の一部を改正する法律案の今国会の成立を見送るとしている。検察庁法改正案に対する国民の強い批判を受けての措置であることは明白であり、このことは国民の運動の大きな成果である。
しかしながら、政府・与党は検察庁法改正案の成立をあきらめたわけではなく、単に秋の臨時国会まで先送りしたに過ぎない。
私たちは、あらためて、政府・与党に対し、第1に、国家公務員法等の一部を改正する法律案(束ね法案)から、「検察庁法の一部改正」案(第4条関係)を分離すること。第2に、同法案の勤務延長(定年延長)、役職定年延長に関する特例部分をすべて削除するか、同法案全体を撤回すること。第3に、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を決めた閣議決定を撤回すること。を強く求めるものである。
2.検察官の独立を奪い法の支配を崩壊させる改正法案
そもそも、検察庁法で定められている検察官の定年に関して、国家公務員法の定年延長規定が適用されないことは、その立法当初から揺るぎない解釈であり、その運用は厳格に行われてきた。にもかかわらず、今回、国家公務員法と同様に政府の裁量による検察官の定年延長規定を検察庁法に盛り込んだうえ、これを国家公務員全体の定年延長を定める国家公務員法改正と一括法案として提出したこと自体に重大な問題がある。
このような検察庁法改正は、政治権力が検察官の人事に介入し、政権にとって意に沿わない検察の動きを封じ込め,政権関係者の違法を摘発し刑事責任を追及する道を閉ざす事態を招くものである。それは、検察官の独立性及び公平・中立性を損い、さらに検察組織に対する国民の信頼を大きく揺がすものである。政府の裁量による検察官の定年延長規定を盛り込んだ検察庁法改正案は、少なくとも特例部分を削除するか、廃案以外にないのであって、これを国家公務員法等改正案と一体のまま継続審議とすることは、断じて許されるものではない。
したがって、直ちに、国家公務員法等改正案から検察庁法改正案を分離して審議することを強く求める。そのうえで、検察官の独立を奪う特例規定をすべて削除するか、法案自体を撤回(廃案)とすべきである。
3.黒川弘務東京高検検事長の定年延長の閣議決定の撤回を求める
また、安倍政権は、本年1月31日、黒川弘務東京高検検事長の勤務を本年8月7日まで延長する閣議決定を行った。この閣議決定は、検察庁法22条、同法32条の2に違反し、国家公務員法81条の3は検察官には適用されないとする一貫した立法者意思や政府解釈にも反するもので、明確に違法である。法秩序の回復のために、閣議決定を直ちに撤回し、黒川弘務氏は速やかに退官すべきである。
4.
以上のとおり、検察庁法改正案の問題は、今国会の審議見送りで許される問題ではない。政府・与党は国民各界の批判を真摯に受け止め、国家公務員法等の一部を改正する法律案から検察庁改正案を分離した上で、同法案の特例部分を削除するか、法案自体を撤回こと、並びに、黒川弘務検事長の定年延長を決めた閣議決定を撤回することを、引き続き強く求めるものである。 |
以上 |
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