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東京高等検察庁黒川弘務検事長の定年延長に関する閣議決定の撤回と
黒川検事長の辞職を求め、検察庁法改正案に反対する共同声明 
2020年3月24日  
改憲問題対策法律家6団体連絡会
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
1 黒川弘務検事長の定年延長を決めた閣議決定は違法
 安倍政権は、2020年1月31日、同年2月7日に定年退官する予定であった東京高検検事長の黒川弘務氏を同年8月7日までその勤務を延長することを閣議決定しました。
 定年延長の狙いは稲田伸夫検事総長の後任に充てる目的であるとも指摘されています。
 この定年延長は、検事総長以外の検察官の定年を63歳と定める検察庁法22条に違反しており、安倍内閣が定年延長の根拠にあげる国家公務員法81条の3は検察官には適用されないとする立法当時からの一貫した政府解釈にも反しており、黒川検事長の定年延長は法的根拠を欠く違法な閣議決定に基づくもので、無効というほかありません。検察官人事に不当に介入する本件閣議決定は、独立公正であるべき検察庁の地位を侵し、ひいては刑事司法制度の独立に対する不当な介入に道をひらくものであって強く抗議します。

2 安倍政権による国政の私物化をこれ以上許してはならない
 安倍政権はこれまでも、2013年に内閣法制局次長を昇格させるのが慣例であった内閣法制局長官に外務省出身の小松一郎氏を任命して、集団的自衛権について政府解釈を180度変更させ、その後の安保法制(戦争法)の制定に繋げるなど、慣例に違反する人事を行って、政治を私物化するに等しい権限の濫用を繰り返してきました。
 本件定年延長は、単なる慣例違反を超えて、法律に明確に違反するものであり、安倍政権の国政の私物化は、近代国家の骨格ともいうべき法治国家を掘り崩す「暗愚な暴挙」です。
 現在、自民党を離党した秋元司衆議院議員に対するカジノを含む統合型リゾート(IR)事業の汚職事件や自民党の河井克行前法務大臣、河井案里参議院議員に対する公職選挙法違反事件に加えて、安倍首相自身も「桜を見る会」に関連する政治資金規正法違反や公職選挙法違反などの疑惑が浮上しています。この点から見ても、権力の中枢が「腐りつつある」中で、検察の「法と秩序」を守る中立・公正な職務への国民の期待をゆるがせにはできません。
 黒川検事長の定年延長は、自らに近い人物を検事総長に据えて、一連の事件の捜査が進むことを阻止し、政権の保身を図ることにあるのではないかと言われています。これは、「厳正公平、不偏不党」という検察庁の理念を根底から脅かす究極の権力の私物化にほかなりません。

3 検察庁法改正案に断固反対する
 政府は、2020年3月13日、検察庁法改正案を国会に提出しました。改正案は検察官の定年を国家公務員等の定年に合わせて段階的に65歳とする規定のほか、1947年の検察庁法制定以降、認められてこなかった検察官の定年延長を、内閣ないし法務大臣の判断で認める規定が設けられています。また、次長検事、検事長、検事正、上席検事などの役職者は、原則として63歳で役職を退くが、内閣ないし法務大臣が必要と判断した場合は、63歳を超えて役職にとどまることができるという例外規定が設けられています。これらの定年延長に関する諸規定は、黒川氏の定年延長閣議決定後に、急遽、加えられたものと指摘されています。
 かりにこのような検察庁法改正法案が成立しても、施行は2022年からであり、今回の違法な黒川弘務検事長の定年延長が遡って適法になるはずもありません。刑事事件の捜査・起訴等の権限を持ち、準司法的職務を担うことから、政治からの独立性と中立性の確保が特に強く要請される検察官の人事に違法不当に介入する「汚点」がぬぐえるわけではありません。しかし、この検察庁法改正案は、検察官全体の人事に、政権が恒常的に介入することを合法化し、刑事司法の独立と公正を蹂躙し続けるものであることから、その影響は計り知れません。
 黒川弘務検事長定年延長問題に対して、これだけ多くの批判が出ている最中、真摯に反省し説明責任を果たすどころか、逆に、すべての検察官の定年人事に恣意的な政治介入を許す法案を国会に提案すること自体、厳しく糾弾されなければなりません。また万が一にも数の力でこれを強行しようとすることは、政府与党が法治国家の誇りも保障もかなぐり捨てる暴挙であって、これも厳しく糾弾されなければなりません。

4 まとめ
 以上のとおり、私たちは、憲法秩序を破壊し、法の支配を蹂躙する安倍政権に強く抗議し、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を認める閣議決定の速やかな撤回と、黒川弘務検事長の即時辞職を求めるとともに、今般国会に提出された検察庁法改正案の撤回を求めるものです。
以上
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