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安倍内閣のもとで急激に進んでいる軍拡に警鐘を鳴らす決議 |
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1 2018年12月18日、安倍内閣は、@「平成 31 年度以降に係る防衛計画の大綱」(新防衛大綱)、A「中期防衛力整備計画(平成 31 年度〜平成 35 年度)」を閣議決定し、B「F-35A の取得数の変更」を閣議了解した。
2 新防衛大綱では、サイバー、宇宙分野への防衛力の進出や「スタンドオフミサイル」(敵兵器の射程外から発射できる長射程のミサイル)の研究推進など、主に中国を睨んだ軍事領域・軍備の拡大方針が記されるとともに、日米同盟を強化する内容が記された。
また、中期防衛力整備計画では、いずも型護衛艦を短距離離陸・垂直着陸可能なF35B戦闘機が離着艦できるように改修することなどが記された。
さらに、「F-35A の取得数の変更」では、F35戦闘機を現状の42機から147機にまで追加配備し、また、うち42機については改修後のいずも型に搭載可能なF35Bに変更できることが記された。
しかし、中国が軍備を拡大するからといって対抗して同じように軍事力を強化することが、平和のための正解の道であるはずがない。戦闘機を搭載できるいずも型護衛艦を「多用途運用護衛艦」であるから攻撃型空母ではないなどと評価することはできず、「攻撃型空母の保有はいかなる場合も許されない」との従来の政府見解にも反するものである。
3 2019年3月27日に成立した予算を見ると、防衛費は過去最高額となる5兆2574億円となり、第2次安倍政権発足以降5000億円以上の増大となっている。兵器のツケ払いである後年度負担(いわゆる「兵器ローン」)の残高は5兆円を突破した。そして、米国からの兵器の押し売りである対外有償軍事援助についての予算は、安倍政権発足時の約5倍(7013億円)に達している。政府がなすべきことは、米国の言い値で大量の戦闘機を購入することではなく、健康で文化的な最低限度の生活(憲法25条)を維持するための社会保障費や教育費など、国民の生活に直結した費用の増額であることは明らかである。
これまで自民党政権が専守防衛に必要としてきた程度を質・量ともに著しく超える「防衛」が、安倍政権のもとで堂々と計画されている。また、これらの内容は異常な対米従属化によって生じたものであり、単なる国内的な軍備増強の問題にとどまらない。
4 これらの動きによって、我が国が守ってきた平和主義の理念(憲法前文、9条)が破壊されていくことは火を見るより明らかである。青年法律家協会弁護士学者合同部会は、安倍政権のもとで急激に進んでいる軍拡に対し強く警鐘を鳴らすものである。
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2019年6月23日 |
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 50 回 定 時 総 会 |
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