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修習生に対する戒告処分等を新設する裁判所法改正案に反対する声明
 今国会に提出され審議されている裁判所法改正案(以下「本件改正案」という。)は、司法修習生に対する給費制度に代わる、生活費等の一部を支給する制度を創設するという点で前進と評価できる内容がある一方、「品位を辱める行状その他司法修習生たるに適しない非行に当たる事由」があるときの司法修習生に対する処分として、修習の停止又は戒告を新設する内容が盛り込まれている(本件改正案68条2項)。従前より、最高裁判所には、司法修習生に品位を辱める行状等が認められた場合にその者を罷免する権限が認められていたところ(裁判所法第68条)、今回の改正はその処分の種類を増やし最高裁判所の司法修習生に対する統制権限を拡大するものである。

 青年法律家協会弁護士学者合同部会は、本件改正案のうち、司法修習生に対する最高裁判所の処分権限を拡大する第68条2項の創設に反対する。

 本件改正案の条文上、罷免、修習の停止及び戒告はいずれも「最高裁判所の定めるところにより」なされることのみが記載され、処分の要件及び手続きなどは具体的に一切定められておらず、最高裁判所の恣意的運用を何ら防止できないものとなっている。

 歴史を振り返れば、戦後まもなく統一司法修習が開始されて以来、最高裁判所は、司法修習生に対し、恣意的な規制や管理強化を進めてきた。過去には、恣意的な任官の判断について修了式での発言の機会を求めた司法修習生を罷免処分とした阪口徳雄修習生罷免事件や青年法律家協会への加入を理由とする度重なる任官拒否事件など、思想信条を理由にしたとしか考えられない不当な処分が頻発した時代があった。

 そもそも司法修習期間は、司法試験合格後、法曹実務家としての知識と素養を養うための期間であり、司法修習生は、最高裁判所より課される司法修習のカリキュラムに留まらず、幅広い視野を持った法曹となるべく見聞を深めるための自主的な学習活動を行うことが期待されている。これらの自主的活動については原則として自由な活動が保障されるべきであり、最高裁判所による恣意的な介入が許されないことは言うまでもない。

 しかし近年においても、司法修習生の自主的な学習活動や課外活動に対して、裁判所が司法修習生を呼び出して注意するなど不当に介入する事例が度々報告されている。

 このような実態にかんがみれば、最高裁判所の司法修習生に対する処分権限に明確な法的根拠を与え、又はかかる処分権限を拡大することは、修習生の自主的な活動に対して萎縮効果をもたらす危険性が極めて高いものであると言わざるを得ない。

 青年法律家協会弁護士学者合同部会は、基本的人権の擁護の担い手となる法曹の養成制度を維持発展させるため、本件改正案のうち、司法修習生に対する戒告処分等を新設し最高裁判所による統制を強める条項に反対する。
2017年4月5日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
議 長   原  和 良
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