律家会弁護士学者合同部会
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山城博治氏らの不当な長期勾留に抗議し、即時解放することを求める決議
 2016年10月17日、沖縄平和運動センター議長の山城博治氏が、沖縄県米軍北部訓練場の敷地内の有刺鉄線を切断したとして、器物損壊の被疑事実で現行犯逮捕された。さらに、山城氏は同年8月25日に沖縄防衛局職員の腕をつかんで怪我を負わせたとして、その3日後に公務執行妨害罪、傷害罪の被疑事実で再逮捕された。加えて、山城氏は、同年1月28日に米軍キャンプシュワブのゲート前にブロックを積み上げて工事車両の進入を妨害したとして、威力業務妨害の被疑事実で、同年11月29日に再度逮捕された。
 その後、複数回の保釈請求にもかかわらず、現在にいたるまで、山城氏は釈放されていない。また、山城氏とともに2名の男性についても同様に長期の勾留が続いている。

 勾留は、被疑者が「定まった住居を有しない」、「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当の理由がある」、「逃亡し又は逃亡するに疑うに足りる相当の理由がある」のいずれかの要件を満たす場合に限り認められるとするのが刑事訴訟法の原則である(刑訴法60条、207条1項)。そして、被疑者、被告人は無罪が推定され、かつ、勾留が身体拘束という被疑者、被告人に対し極めて権利の侵害性が高い強制処分である以上、この要件は厳格に解釈されなければならない。
 しかし、日本の捜査機関及び裁判所は、上記要件を極めて緩く解釈し、安易に上記要件が満たされていると認め、勾留状の請求、発付を行っており、「人質司法」として人権団体、法律家団体等から批判されてきた。青年法律家協会弁護士学者合同部会も、継続的に批判を行っている。

 また、勾留は、被疑者・被告人の家庭生活、職業生活その他の日常生活全般に重大な支障を与えることは明らかである。弁護士が日々刑事事件を担当する際にも、「認めてでも早く出たい」という声はよく聞かれるところである。
 身体拘束の長期化は、被疑者・被告人に対し、早期に釈放されるために捜査機関の望むとおりに罪を「自白」することを促し、冤罪の原因ともなっている。 
 憲法は第37条において、被告人の裁判を受ける権利を保障しているが、裁判を受ける権利を実質的に保障するためには、捜査機関、訴追機関と対等な立場で裁判を受けることが保障されなければならない。しかし、身体拘束を受けている立場では、捜査機関、訴追機関と対等な立場に立つことは不可能である。
 そして、山城氏らに関しては、捜査機関の捜査はすでに終了しており、勾留の要件を満たさないことは明らかである。したがって、山城氏らに対する勾留は違法であり、山城氏らの権利への著しい侵害である。

 山城氏は辺野古新基地建設とオスプレイ配備のための高江ヘリパッド建設への反対運動など、長年にわたって沖縄米軍基地反対運動の中心を担ってきた人物である。今回の逮捕、勾留の被疑事実とされた一連の行為はいずれも多くの沖縄県民の思いを代弁した抗議行動の中でのものである。山城氏への勾留の長期化は、山城氏自身の政治的な表現活動の自由(憲法21条)を抑圧し、また沖縄米軍基地反対運動に対して不当な萎縮効果をもたらすことを意図してなされており、決して許されるものではない。

 近年、政府の意向に反する運動に対する監視、弾圧の動きが特に活発化しており、かつ、通信傍受(盗聴)の拡大、合意制度(司法取引)の創設などの監視、弾圧を容易にする刑事訴訟法等の改悪も行われている。
 そもそも刑事訴訟法の本来の目的が捜査機関の権限を限定、制約することであることからすれば、こうした市民に対する監視・弾圧の権限の恣意的な拡大は刑訴法の理念に反すると共に憲法にも違反すると言わねばならない。
 本件では、「人質司法」が裁判所や捜査機関において蔓延するなか、勾留手続きを口実にして山城氏らを長期拘束し、これによって沖縄米軍基地反対運動を弾圧しようとしていることは明らかである。
 当部会は、山城氏が長期にわたって身体拘束されていることに対し抗議し、逮捕、勾留の要件を厳格に適用して山城氏らを即時解放するよう強く求める。
2017年3月4日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 4 回 拡 大 常 任 委 員 会
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