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南スーダンPKO派遣の自衛隊に対する「駆け付け警護」等の新任務を付与した
閣議決定を撤回し、同国からの自衛隊の即時撤収を求める決議
 2016年11月15日、政府は、現在PKOとして南スーダンに派遣されている自衛隊に対して、安保法制(戦争法)で実施可能となった「駆け付け警護」「宿営地の共同防護」の新任務を付与する閣議決定を行なった。

  そして、同月18日、上記閣議決定に基づき、稲田朋美防衛大臣は、南スーダンに派遣される予定の自衛隊に対し、「駆け付け警護」と「宿営地の共同防護」の任務を与える命令を下した。すでに同月21日には自衛隊の先発隊が南スーダン首都ジュバに到着している。

 これまで自衛隊がPKO活動に参加するための要件としては、紛争当事者間で停戦合意が成立していることなど「PKO参加5原則」を全て満たしている場合に限られるとされてきた。

  しかし、同年7月、ジュバにおいて、キール大統領派とマシャール副大統領派との間で大規模な戦闘行為が発生し、約270人が死亡した。その際、戦闘行為自体は、停戦命令により止まったが、兵士らが国連職員や民間人に対して、殺人、略奪、強姦などの性的暴行が行われたとされる。このような治安状況の悪化により、各国の文民警察も国外に退避した。

  また、同年11月1日付けの国連の報告書によれば、7月の戦闘によって「キール大統領とマシャール前副大統領との不安定な和平合意は崩壊した」と明記している。さらに、同年11月11日国連事務総長特別顧問は、南スーダンは「民族間の対立が激化し、ジェノサイドになる危険がある」という警告をした。

  このような事情からすれば、すでに前記の閣議決定時には、南スーダンにおいて、「PKO参加5原則」の紛争当事者間の「停戦合意」が保たれていないのは明らかである。

 2015年9月に「成立」したPKO「改正」法により、自衛隊は新たに「駆け付け警護」等の活動が可能とされた。この点については、青年法律家協会弁護士学者合同部会は、同年10月2日に「立憲民主主義と日本国憲法の平和主義を蹂躙する戦争法制の可決・成立に強く抗議する」との議長声明等を発表してきたところである。

  かかる「駆け付け警護」では、国連職員や人道援助関係者などを救助するため武器の使用が認められている。現在の南スーダンに、「駆け付け警護」「宿営地の共同防護」の新任務が付与された自衛隊が派遣されれば、政府軍や反政府勢力と交戦する危険は極めて大きく、憲法第9条1項で禁じられた「武力の行使」を行なう危険性が高いといえる。

  さらに、新任務の内容が、武器の使用が自己保存型から任務遂行型に拡大されていることからすれば、国又は国に準ずる組織に対する武器の使用の危険が極めて高くなり、そこでの武器使用が行われれば、憲法第9条1項の禁止する「武力の行使」そのものとなる。

 日本がなすべきことは、自衛隊への新任務の付与ではなく、憲法前文や第9条の平和主義の理念に基づいた外交による解決と非軍事の人道・民生支援の抜本的強化である。

  青年法律家協会弁護士学者合同部会は、政府に対して、「駆け付け警護」と「宿営地の共同防護」の新任務を付与する閣議決定を直ちに撤回すること、および現在PKOとして南スーダンに派遣されている自衛隊を即時撤収することを求める。
2016年12月 3日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 3 回  常 任 委 員 会
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