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南スーダン・PKO自衛隊派遣に反対する法律家6団体の声明
 安倍政権は、多くの市民の反対の声を無視して、2015年9月に「戦争法」(いわゆる「安保関連法」)の制定を強行し、この中で「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」(いわゆる「PKO法」)も改正された。施行された改正PKO法によって、今年11月には 南スーダンへ「派遣」される青森駐屯地の陸上自衛隊第9師団第5普通科連隊を中心とした部隊に、他国PKO要員などの救出を行う「駆け付け警護」と国連施設などを他国軍と共に守る「宿営地の共同防護」の任務を付与しようとしている。

 そもそも、1992年にPKO法が制定された時、PKO活動の変質(米ソ冷戦前は北欧やカナダなどが原則非武装で、派遣国の停戦・受入合意がある場合にPKO活動を行っていたが、米ソ冷戦後は時にアメリカなどの大国が重武装で、しかも派遣国の停戦・受入合意がない場合でもPKO活動を実施するようになった)と憲法との関係(自衛隊をPKO活動に「派遣」するのは憲法9条違反ではないかという議論)から、当時の野党は国会で牛歩戦術まで使って抵抗したほど議論があった。そのため、政府・与党もPKO法を制定したものの、PKO法に基づく参加に当たっての基本方針として5原則(@紛争当事者間での停戦合意の成立、A紛争当事者のPKO活動と日本のPKO活動への参加の同意、B中立的立場の厳守、C上記原則が満たされない場合の部隊撤収、D武器使用は要員の生命等の防護のために必要最小限のものに限られること)を定め、自衛隊のPKO活動はあくまで復興支援が中心で、武器使用は原則として自己及び自己の管理に入った者に限定し、派遣部隊も施設部隊が中心であった。

 しかし、南スーダンでは、今年4月に大統領派と反政府勢力の前第1副大統領派とが統一の暫定政府を立ち上げたが、今年7月に両派で大規模な戦闘が発生し、この戦闘ではPKO部隊に対する攻撃も発生し、中国のPKO隊員と国連職員が死亡している。国連安保理は、今年8月にアメリカ主導で南スーダン政府を含めたいかなる相手に対しても武力行使を認める権限を付与した4000人の地域防衛部隊の追加派遣をする決議案を採択したが、この決議には南スーダンの代表自体が主要な紛争当事者の同意というPKOの原則に反しているという理由で反対し、ロシアや中国なども棄権している。今月も大統領派と前第1副大統領派との間での戦闘が拡大し、1週間で60人もの死者を出している。この状況はとてもPKO参加5原則を満たしている状況とはいえない。そして、政府が今後予定しているのは、施設部隊に加えて普通科部隊や、さらに中央即応集団の部隊も派遣される可能性があり、他国部隊を守るために武器使用に踏み切るならば、憲法9条で否定された武力行使にあたることになる。

 私たち改憲問題対策法律家6団体連絡会は、憲法違反の「戦争法」(いわゆる「安保関連法」)の廃止を引き続き求めていくとともに、かかる状況の下での自衛隊の南スーダンへの派遣と新任務の付与に断固として反対するものである。
2016年10月27日
 改憲問題対策法律家6団体連絡会                                
社会文化法律センター 代表理事 宮 里 邦 雄
自 由 法 曹 団 団  長 荒 井 新 二
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議  長 原   和 良
日本国際法律家協会 会  長 大 熊 政 一
日本反核法律家協会 会  長 佐々木 猛也
日本民主法律家協会 理 事 長 森   英 樹
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