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戦争法案の衆院強行採決に強く抗議する
 本年7月15日、政府与党は、衆院特別委員会において、集団的自衛権行使を可能とするなど明白に憲法に違反する「戦争法案」(安全保障関連法案)を野党が欠席するなか強行採決し、さらに同月16日には衆院本会議でも強行採決を行った。憲法前文、9条に掲げられた平和の理念を根底から突き崩す戦争法案の衆院可決に対し、青年法律家協会弁護士学者合同部会は強く抗議する。

 この戦争法案は、これまで政府が憲法上認められないとしてきた集団的自衛権の行使を可能とするとともに、自衛隊が米国等の他国軍隊とともに、地理的限定なく、有事平時を問わず緊密に協力して武力を行使することも解禁する内容となっている。これは、憲法第9条が定めた戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認の平和主義を根底から覆すものであり、また一内閣の恣意的な判断によって60年以上にわたって積み上げられてきた憲法解釈が変更されたという点では立憲主義にも違反するものである。

 この間、日本弁護士連合会や全国の52の単位会、そして9割を超える全国の憲法学者が本法案の違憲性を強く指摘してきた。政府与党が集団的自衛権行使容認の論拠であると強弁した砂川事件最高裁判決の引用や、集団的自衛権行使を否定していないとする1972年政府見解の論理すり替えは、いずれも憲法学者からの批判を受け論理が破たんした。また、答弁に窮した政府与党は、「国民の命と暮らしを守り抜くのは、憲法学者ではなく私たち政治家だ」などと、およそ立憲主義を理解しない発言を繰り返し、国会審議が続くにつれ、本法案の矛盾点が噴出していったのであった。国民の6割がこの戦争法案は違憲であると受け止め、8割が説明不足であると感じ、また全国393の自治体で戦争法案について、反対ないし慎重審理の決議が挙がったのも当然であろう。

 政府与党のごまかしの論理に対し、若者を含む多くの国民が不安と怒りを持ち、本法案の撤回を求めて国会前をはじめ全国各地で連日、集会やデモを繰り広げた。こうした国民の声に耳を傾けずに強行採決を行った政府与党は、民主主義、国民主権を蔑ろにしたと言わねばならない。

 今後、論戦の場は参院へと移される。衆院可決後も、法案成立を絶対に許さないという国民の声はますます盛んとなっている。特別委員会での強行採決がなされた7月15日には、国会前を6万人が埋め尽くした。憲法の定める平和主義の堅持を求めて設立された当部会は、本年総会でも「戦争法案の廃案を求める決議」をあげているが、あらためて政府与党による衆院強行採決に対して強い怒りを込めてこれを抗議するとともに、多くの国民と連帯して、この戦争法案を廃案とするため全力を尽くすことを宣言する。
2015年7月17日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
議 長  原  和 良
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