律家会弁護士学者合同部会
Japan Young Lawyers Association Attorneys and Academics Section
〒160-0004 東京都新宿区四谷2-2-5小谷田ビル5階
TEL 03-5366-1131 FAX 03-5366-1141
お問い合わせ  リンク 
MENU
トップページ

青年法律家協会とは
    □弁護士学者合同部会

    □入会申込書

弁学合同部会の活動
    □決議/声明/意見書

    □委員会の活動

    □人権研究交流集会

イベント・学習会
のお知らせ
□イベントカレンダー

修習生のみなさんへ

法律家をめざす
みなさんへ

出版物のご案内

□機関紙「青年法律家」

リンク

避難指示の「一括解除」と賠償打ち切りに反対する決議
 福島第一原発事故による被害に関し、原子力災害対策特別措置法に基づく政府の原子力災害対策本部は、本年6月12日「福島復興指針」を改訂し、閣議決定した。その内容は、2017年3月をもって居住制限区域と避難指示解除準備区域の避難指示を一括して解除し、2018年3月をもって、現在東京電力が支払っている月額10万円の賠償を打ち切るというものである。

 放射線防護のために住民に避難を強いることは、基本的人権の制約であるから、その実施(避難指示区域の設定)は、合理的かつ必要最小限の範囲内であることが求められる。従って、避難指示を含む放射線防護策は、放射線による発癌や遺伝的影響などの確率的障害は放射線量の増加に比例するという放射線防護の基本的な原則に基づいて、放射線量に応じてなされるべきものであり、現に政府によって設定されている避難指示の区域割は、年間の推定積算放射線量の程度に応じて、段階的になされたものである。そうだとすると、その解除もまた、放射線量に比例した合理的な根拠に基づくものでなければならないはずである。
ところが、そうした年間積算線量の実績や予測という地域的個別性を無視して、広範な2つの避難区域を一括して、しかも僅か2年で解除することは、その性質上あり得ない措置である。この2つの避難区域は広範な面積に及び、場所ごとに放射線量の水準に大きな差があるから、一律の取り扱いなど出来るはずがない。加えて、山林の除染は実施しないという政府の方針の下で、対象区域全体の放射線量が2年後に十分低減していることなど、到底ありえない。
放射線量が十分に安全な水準に低減され、かつ地域の社会的環境が生活を可能とする水準まで回復していなければ、住民は帰還出来ないのであって、これは生物的生存と社会的生存に関わる条件であるとともに、個人の自己決定権に属する重要な問題である。

 故郷に帰還したいという避難者の望みはまことに真摯なものである。しかし、その切実な要求を利用して、「復興政策」を実現するために避難指示を解除し、併せて賠償を打ち切ることによって住民の帰還を強制することは許されない。
政府は、人間の尊厳を無視したこの改訂を撤回するよう求める。
2015年6月27日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 4 6 回 定 時 総 会 
 ページトップへ    前ページへ戻る

トップページ 青法協とは 弁学合同部会の活動 イベント・学習会 修習生のみなさんへ 法律家をめざすみなさんへ 出版物
(c)2012,Japan Young Lawyers Association Attorneys and Academics Section. All rights reserved.
掲載中の文章・写真およびデータ類の無断使用を一切禁じます。