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衆議院の解散・総選挙にあたって, 安倍政権の「戦争する国づくり」に
ノーの審判を下すことを呼びかける法律家6団体共同声明
1 大義なき、政権延命策解散

  安倍政権は、11月21日、衆議院を解散し、その後の臨時閣議で12月2日公示、2月14日投票の日程で総選挙を実施することを決定した。
  今回の衆議院解散は、アベノミクスの失敗や「政治とカネ」の問題から国民の目をそらし、野党の選挙準備が整わないうちに選挙を行って過半数を獲得しようという意図のもとになされたものであり、政権の延命を図るという私利私欲・党利党略のために行われた大義な
き解散である。
 同時に、安倍政権がこの時期に解散・総選挙に踏み切らざるを得なかったのは、特定秘密保護法の強行や集団的自衛権行使容認の閣議決定、原発再稼働、TPP交渉への参加、消費増税など、民意を無視し、憲法を破壊し、国民の命と暮らしを蔑ろにする安倍政権の暴走に対する国民の強い怒りと批判が広がったからにほかならない。これに追い打ちをかけたのが沖縄県知事選挙である。11月16日に実施された沖縄県知事選挙では、現職の仲井真弘多氏が名護市辺野古への新基地建設に反対する翁長雄志氏に歴史的大敗を喫し、新基地建設を強引に押し進めようとする安倍政権への抗議の県民意思が明確に示されたのである。その意味では世論と運動とによって安倍政権の側が追い込まれた解散・総選挙である。


2 秘密保護法の強行採決・集団的自衛権行使容認閣議決定  問われる「戦争する国づくり」

  今回の総選挙によって問われるべきは安倍政権の「戦争する国づくり」である。
  安倍政権は、2012年12月の第二次政権の発足以来、「戦争する国づくり」に邁進している。安倍政権は、7月1日に立憲主義を踏みにじって「集団的自衛権」の行使を容認するよう憲法解釈を変える閣議決定を行った。集団的自衛権は、日本が武力攻撃をされてないにもかかわらず、アメリカなどの他国のために戦争することを意味するものである。集団的自衛権の行使を認める閣議決定が、戦争を放棄し、陸海空軍を持たないとした憲法9条に違反することは明らかである。まさに違憲の閣議決定というほかない。
  日本は、アジア諸国民2000万人、日本人310万人の尊い命を失った侵略戦争の悲惨な経験から、二度と同じ過ちを犯さないと決意し、不戦の誓いをもって戦後の国際社会に復帰したのである。この不戦の誓いに立つ憲法9条の下、日本は、戦後70年近くにわたって、海外での武力行使を許さない立場を堅持してきた。集団的自衛権の行使を容認する閣議決定は、こうした70年の年月をかけて培ってきた平和国家としての日本の国のあり方を根本から変える暴挙である。
 安倍政権は、本閣議決定に先立ち、権力が情報を独占し、国民から知る権利を奪う稀代の悪法である特定秘密保護法を強行採決し、日本の安全保障政策を一部の権力者で秘密裏に決定しうる「日本版NSC」を設置し、武器輸出三原則の破棄等を行い、さらには、初めて国家安全保障戦略を策定し、新防衛大綱や中期防衛計画において軍拡路線をあからさまにしている。 
 安倍政権の一連の政策は、まさに平和主義を投げ捨て、憲法9条を空文化し、日本をアメリカと一緒に戦争する国にしようとするものにほかならない。


3 岐路に立つ日本  平和と自由と民主主義を堅持する国民の意思を示すとき

  今回の総選挙は、安倍政権の改憲・壊憲政策による戦争への道を突き進むのか、それとも、戦後70年近くをかけて積み上げてきた日本国憲法が示す平和国家の道を堅持し、深化させるのか、国民の選択が迫られている。今、日本は岐路に立たされている。今こそ、日本と世界の未来のために平和国家としての道を歩み続けることを願う国民の意思を示す時である。
 私たち法律家6団体は、安倍政権による憲法破壊の「戦争する国づくり」が日本と世界の未来にとって重大な禍根を残すものであること強く訴え、日本の進路が問われる今回の総選挙で、国民が選挙権を行使し、安倍政権の「戦争する国づくり」にノーの審判を下すことを呼びかけるとともに、集団的自衛権の行使容認の動きと、憲法9条の意義を掘り崩すあらゆる動きに対して反対していくこと、とりわけ集団的自衛権行使容認を閣議決定で強行したことに強く抗議し、平和・自由・民主主義の擁護のために全力を尽くすことを、ここに表明するものである。
以上
2014年12月1日
社会文化法律センター 代表理事 宮 里  邦 雄
自 由 法 曹 団 団  長 荒 井  新 二
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議  長 原    和  良
日本国際法律家協会 会  長 大 熊  政 一
日本反核法律家協会 会  長 佐 々 木 猛 也
日本民主法律家協会 理 事 長 森    英  樹
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