|
|
安倍首相による戦犯追悼に抗議する決議 |
|
1 安倍晋三首相は、2014年4月29日、和歌山県高野町の高野山奥の院にある「昭和殉難者法務死追悼碑」で行われたA級戦犯を含む元日本軍人らの法要に、自民党総裁名で哀悼の意を伝える書面を送った。この法要は、陸軍士官学校OBらでつくる「近畿偕行会」と「昭和殉難者法務死追悼供養碑を守る会」が共催したものであるが、この2つはいずれも東京裁判によるA級戦犯の処罰に反対し、「東京裁判史観の払拭」を旨とする団体である。
安倍首相は書面に「今日の日本の平和と繁栄のため、自らの魂を賭して祖国の礎となられた昭和殉難者の御霊に謹んで哀悼の誠をささげる」と記し、司会者が読み上げた。また、昨年の法要でも自民党総裁名で書面を送っていた。
2 自民党総裁という肩書きでの送付であるからといって、首相としての責任がなくなるわけではない。侵略戦争遂行の責任者であるA級戦犯らを追悼する法要にA級戦犯の功績を讃える書面を送付する行為は、かつての侵略戦争を美化するものであって、憲法の定める平和主義(前文、9条)を突き崩すという点で看過できない重大な問題がある。
安倍首相は、昨年12月26日には、侵略戦争の精神的支柱となっていた靖国神社に、現役の首相としては7年ぶりに参拝し、侵略戦争の反省の上に、アジア諸国との平和・共生・繁栄の道を歩むという日本が求められている外交姿勢を否定するに等しい行為をとった。今回の行為も同じく歪んだ歴史認識に立っての行動であり、現在の日本のよって立つ「先の大戦の反省のもとの平和主義」を根本から否定するものであるとともに、アジア諸国との友好関係に決定的な亀裂を生じさせるものであって、到底許されるものではない。
3 安倍首相は、同書面の中で、「恒久平和を願い、人類共生の未来を切り開いていくことをお誓い申し上げる」と述べているが、そうであるならば、侵略戦争を真摯に反省する姿勢を貫くことこそ求められる。
青年法律家協会弁護士学者合同部会は、安倍首相による本書面の送付に対して厳重に抗議するとともに、今後、戦犯らの追悼行事に関与することのないよう強く求める。 |
2014年9月12日 |
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 2 回 常 任 委 員 会 |
|