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佐賀空港へのオスプレイ配備に断固抗議する決議
1 安倍政権は、2014年7月1日に集団的自衛権行使容認を閣議決定した。中期防衛力整備計画では18年度までに陸上自衛隊に米軍の新型輸送機オスプレイ17機を導入する方針が打ち出され、19年度から佐賀空港に配備する計画が進められている。佐賀空港へ配備予定のオスプレイは、自衛隊佐世保基地に配備される自衛隊版海兵隊「水陸機動団」の移動手段として運用され、集団的自衛権行使の際には実働部隊を戦地に運ぶことが想定されている。

 しかしながら、憲法9条の下で個別的自衛権を超える武力の行使を許す解釈の余地はない。歴代内閣が一貫して踏襲してきた解釈を変更する集団的自衛権行使容認の閣議決定は、憲法解釈の体をなしておらず、憲法の法規範性を否定するに等しい暴挙である。このように、明らかに違憲である集団的自衛権行使を目的とするオスプレイ導入は断じて許すことはできない。

 また我が国の航空法では、安全確保のためオートローテーション能力のない回転翼機の飛行は禁止されており、オスプレイは同法の安全基準を満たしていない。オートローテーション能力の欠如は、米海兵隊や製造者も認めるところであり周知の事実である。

 自衛隊法は自衛隊機への航空法適用を除外するが、平成19年1月5日に当時の防衛庁が改正した「航空機の安全性の確保に関する訓令」付属書には、着陸に関し回転翼機は「全発動機が不作動である状態で、できる限り自動回転飛行により安全に進入し及び着陸できるものでなければならない」と明記されており、航空法に準じた安全基準を充足することが求められている。これは、自衛隊が「国民の命と暮らしを守る」ために存在することから当然と言えよう。民間航空機の安全基準すら満たすことのできない危険な機体を自衛隊が使用し、これにより「国民の命と暮らしを脅かす」ことがあってはならないのである。航空法の定める安全基準を満たしていないオスプレイを自衛隊に導入することは決して許されない。

 さらに、オスプレイは米海兵隊が他国侵略に用いるために開発された機体である。文字通り「自衛」がその役割であるはずの自衛隊が、侵略のための機体を配備する理由はない。政権は島嶼防衛をオスプレイ導入の理由に挙げるが、長距離を高速で飛行し、大量の兵員を輸送できるオスプレイは他国の領土を侵略する場面においては極めて有効な機体であるが、自国防衛にいかなる役割を果たせるのかは必ずしも明らかにされていない。オスプレイ配備を強行しようとする姿勢の裏には「自衛」とは別の目的が隠されていることが強く懸念される。

 「自衛」より「侵略」において威力を発揮するオスプレイは、我が国の平和主義と本質的に相容れないものであり、自衛隊の導入には断固反対する。

2 2014年7月22日、安倍政権は、暫定的に米軍普天間基地のオスプレイを佐賀空港へ移転する案を示し、佐賀県知事に対し検討を要請したが、米軍側が移転に難色を示したことから移転案は宙に浮いた形となった。この移転案は地元に対し事前の打診もないまま唐突に発表されたことから地元住民らの困惑は大きい。政権は、沖縄の基地負担軽減のためとするが、海兵隊部隊を残したままでオスプレイだけを県外に移転できたとしても根本的な基地負担軽減には繋がらない。沖縄県知事選が11月に迫る中で、基地負担軽減の実績を造らんとする政権の焦りが伺える。

 オスプレイが普天間基地に配備される際、日米両政府の間で、できる限り学校や病院などの人口密集地上空を避けて飛行することや夜間飛行や回転翼を上に向けて基地外を飛行することを制限することが合意されていた。しかしながら、沖縄県や周辺市町村による調査では、配備からの2か月間で318件もの合意違反が確認されている。また防衛省のまとめによると、夜間飛行を制限する合意がなされているにも関わらず、普天間基地への午後10時以降の着陸が60回に及んだことも明らかとなっている。さらにオスプレイの回転翼が発する低周波音については近隣住民から不安感や不眠などの心理的影響が報告されているほか、振動による建具のがたつきなど物理的影響も指摘されており、沖縄県からは、環境省が目安とする数値を超える低周波音が確認されたとの調査結果が報告されている。現在、国内各地でオスプレイ飛行訓練が計画・実施されているが、これらを実現しても沖縄の基地負担軽減には繋がらない。さらに同様の被害を全国各地に拡散することは避けなければならない。

 米軍基地を国内に置く限り、沖縄をはじめとする日本各地の基地負担はなくならないのであって、根本的解決を図るためには米軍の完全撤退を実現させるほかはない。我々青年法律家協会弁護士学者合同部会は、日本国内での米軍オスプレイ訓練実施に強く反対するとともに、米軍基地の速やかな無条件返還を強く要求する。
2014年9月12日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 2 回 常 任 委 員 会
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