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集団的自衛権行使容認の閣議決定に強く抗議する
  2014年7月1日、安倍内閣は、憲法9条の下でも集団的自衛権の行使が容認されると憲法解釈を変更する旨の閣議決定をした。すなわち、@わが国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、Aこれを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、B必要最小限度の実力を行使することができる、との新たな武力行使の要件を決定した。

   しかし、そもそもこの閣議決定は、戦争による惨禍を痛切に反省し、徹底した恒久平和主義を規定した日本国憲法の理念(前文)と矛盾するものであり、武力行使を禁じた9条に明確に反するものであって、憲法違反であり無効である(憲法98条)。

  安倍首相は、同日の記者会見において、新3要件はこれまでの武力行使の3要件とは異ならない、憲法上の歯止めとなると繰り返し強調した。

   しかし、@の要件は、これまでの歴代内閣が堅持してきた「我が国に対する武力攻撃が発生した」との要件を「他国に対する武力攻撃が発生し」た場合にまで拡大するものであり、我が国の領域に対する武力攻撃に対する「専守防衛」に限って自衛権行使を認めてきたこれまでの政府見解を変更するものであることは明らかである。そして、他国への武力攻撃により「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」が生じているか否かを時の政府が判断することになり、その判断は恣意的になされうるのであって、武力行使の歯止めにならないことは明らかである。

   加えて、新3要件は、戦闘中の機雷掃海など集団安全保障の軍事的措置への参加を禁じるものとはなっていない。むしろ記者会見で安倍首相は「新たな安全保障法制の整備のための基本方針を示した」と述べており、菅義偉官房長官も7月4日のNHKの報道番組で、集団的自衛権を使って中東ペルシャ湾のホルムズ海峡で機雷除去を行うことについて、「(武力行使のための)新3要件を満たす場合に限り、(自衛隊が)機雷を除去しに行くことは可能だ」と述べ、機雷除去に地理的制限はないとの考えを示しており、個別的自衛権、集団的自衛権どころか、およそ「自衛」とも言えない集団安全保障の軍事的措置への参加が推し進められることになるであろう。

  かかる閣議決定によって、集団的自衛権の行使を容認することは、冒頭に述べたとおり恒久平和主義を謳う憲法前文の理念や「国際紛争を解決する手段として」の戦争、「武力の行使」、「武力による威嚇」を禁止する9条1項の趣旨を蔑ろにするものである。そして、これは歴代自民党政府が積み重ねてきた戦力保持と交戦権を禁じる同条2項との整合性をも無視するものであり、これまでまがりなりにも否定されてきた他国の領域における自衛隊の「武力の行使」を容認する結果となるものであって、もはや解釈を越えて憲法9条を空洞化し破壊するものにほかならない。そして、各種世論調査にも示されているとおり、今回の閣議決定については、到底国民世論の納得は得られていない。

  報道によれば、政府は、閣議決定を実施に移すべく、武力攻撃に至らない侵害、いわゆるグレーゾーンへの対応から集団的自衛権に関わるものまで一括して法制度を改定しようとしている。そのため、新たな担当大臣を設け、来年の通常国会での法案成立を目指すと報じられている。

   しかし、憲法に違反する閣議決定に基づいてなされる法令整備もまた同じく違憲であることは言うまでもないことであって、安倍内閣が進めようとする暴挙をこれ以上許してはならない。

   当部会は、集団的自衛権行使を容認した憲法違反の閣議決定に強く抗議し、今後とも幅広い国民と連帯して、平和主義を破壊し日本を戦争する国に変容させるあらゆる動きを全力で阻止していく決意を表明する。
2014年7月18日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
議  長    原   和 良 
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