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閣議決定による集団的自衛権容認の動きに反対する緊急声明
 安倍晋三首相は、2014年5月15日、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)による報告書の提出を受けて、即日、記者会見を行い、政府としての「基本的方向性」を発表して集団的自衛権行使に積極的な姿勢を示した。

 その後、安倍首相は、集団的自衛権の行使が無限定にならないように要件を課すと述べ、今通常国会の期限である6月22日までに閣議決定を行い、憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を限定的に容認すると繰り返し述べている。

 しかし、そもそも集団的自衛権行使の容認は、これまで積み重ねられてきた政府の憲法解釈を覆すものであるが、なぜ今、これまでの憲法解釈をくつがえさなければならないのかが全く説明されていない。

 さらに報告書の中の限定容認論で語られている集団的自衛権の6つの「行使要件」は、実態的には何らの限定にならないものである。なぜならば、「我が国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃」や「武力攻撃を受けた国の明示の要請又は同意」という要件は、集団的自衛権の定義そのものであるからである。また、「第三国を軍隊が通過する場合の当該国の同意」は、国際法上必要とされる条件であり、「事前又は事後における国会の承認」や「政府による政策判断と閣議決定」などは国内法上当然に要求される手続きであるからである。むしろ、集団的自衛権が、いわゆる「地球の裏側」で行使することも否定されていない。

 これらの批判を受けて、安倍首相は、自衛権行使について、1972年田中内閣時に示された3要件を変更して、新たな3要件を検討するとした。そしてこれまで「わが国に対する急迫不正の侵害があること」とされていた要件を、「わが国への武力攻撃が発生したこと」に加えて、「他国に対する武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがあること」とするという。しかし、「おそれ」の文言は抽象的なため、政府の解釈次第で行使の対象がいくらでも拡大できるのであって、これでは何ら歯止めにはならない。

 このように安倍首相が集団的自衛権行使容認を急ぐのは、憲法の基本原理である平和主義を捨てて、日本がアメリカとともに海外で「戦争する国」に変えるためにほかならない。今後は、今年12月に予定されている日米新ガイドラインの改定交渉を通じて、アメリカとの軍事協力の緊密化、日本の軍事分担の増大に突き進むことになるであろう。

 そもそも、日本国憲法前文および9条は、日本の過去の侵略戦争に対する痛切な反省を踏まえて規定されたものであって、具体的権利としての平和的生存権を定めるとともに、武力の行使、武力による威嚇を禁止し、一切の戦力を保持しないとして、軍事力によらない徹底した平和主義を実現しようとするものである。「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とする憲法9条の規定からすれば、自衛隊が海外で軍事力を行使できるという集団的自衛権の行使は明文に反するというしかない。このように明文に反する解釈を政府が行うことは、政府自身による憲法破壊そのものであり立憲主義の放棄である。

 当部会は、本年5月14日に「立憲主義に反する『解釈改憲による集団的自衛権の行使容認』に反対する議長声明」を発表したが、閣議決定による集団的自衛権の行使容認の動きが強まる中で、あらためて、憲法9条の意義を掘り崩すあらゆる動きに対して反対していくことを表明するとともに、とりわけ集団的自衛権行使容認を閣議決定で強行することに強く反対する。
2014年6月18日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
議 長   原  和 良
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