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立憲主義に反する「解釈改憲による集団的自衛権の行使容認」に反対する議長声明

 2014年2月12日、安倍晋三首相は、衆議院予算委員会において「最高責任者は私」などと述べ、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)から集団的自衛権の行使容認についての報告書の提出を受けた上で、夏ころまでに日本が直接攻撃を受けていなくても支援や反撃ができるよう、集団的自衛権の行使容認を閣議決定で決める意向を表明した。また、報道によれば、本年5月15日には安保法制懇から報告書の提出を受け、同日には政府の「基本的方向性」を発表するとされている。

 安倍首相は、対中防衛のための日米同盟の強化を喧伝し、今秋の臨時国会で自衛隊法や周辺事態法などの改正案を成立させ、年末までに行う「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定に行使容認を組み込もうと、解釈改憲の実現を急いでいる。


 しかし、歴代の内閣および内閣法制局は、憲法9条2項が戦力の保持を禁じ交戦権を認めないもとで、日本が自衛のために保持できるのは、日本への急迫不正の侵害があった場合にこれを排除する必要最小限度の実力であるとしてきた。

 そして、集団的自衛権については「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」とした上で、我が国が行使しうる自衛権は、自国への急迫不正の侵害があった場合に実力をもって防衛すること(個別的自衛権)に限定され、自国への攻撃を条件としない集団的自衛権は我が国を防衛するための必要最小限度の範囲を超えるものであり、憲法9条に反して許されないのとの憲法解釈の見解を一貫して維持してきた(昭和56年6月3日衆議院法務委員会角田法制局長官答弁など)。

 集団的自衛権の憲法解釈を変更することについての「自由にこれを変更するということができるような性質のものではない」との政府答弁(2005年11月4日内閣参質163第14号)もそのことを裏付けている。


 それにもかかわらず、時の政府が、憲法の解釈を恣意的に変更し集団的自衛権の行使を容認することは、立憲主義や法の支配という基本原理を破壊するものであって断じて許されない。

 そもそも憲法とは、国民の自由や権利を守るために政府を縛る規範である。

 時の政府が自らの判断で憲法解釈を変更できるとする安倍首相の考えは、拘束「される側」の政府がその拘束の内容を決定するというものであって、立憲主義に真っ向から反する。


 これまでの歴史を振り返れば、米国によるベトナム戦争や旧ソ連によるアフガニスタン介入など、過去にも多くの国家が集団的自衛権の名のもとに海外での侵略戦争や武力干渉を繰り返してきた。集団的自衛権が、他国から何ら攻撃されていなくても、「自衛」の名のもとに他国を攻撃する口実に用いられてきたのは明らかである。

 また、政府が想定している「自国と密接な関係にある外国」とは、世界の軍事予算の4割弱を占める米国であって、米国が仕掛ける理不尽な戦争に加担・協力させられることに道を開くことは憲法の平和主義に真っ向から反する。

 このように集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更は、これまで歴代政府が禁じてきた海外での武力行使に道を開き、憲法9条を死文化させるとともに立憲主義を破壊するものである。


 当部会は、立憲主義に反する、憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認について、強く反対するものである。
2014年5月14日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
議 長  原   和 良
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