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環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの脱退を求める決議
 政府は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉について、本年7月に開催されたマレーシア交渉から参加を開始した。TPP交渉参加国には秘密保持契約の締結が求められており、協議中はもちろん、TPP締結後4年間は交渉内容を明らかにしてはならないとされているため、国民に対しては、交渉参加後も何ら情報開示がされず、国内において十分な議論が尽くされていない。それにもかかわらず、2013年11月12日、政府担当者は、ルー米国財務長官と会談を行い、日米がTPP交渉の年内妥結に向けて協力していくことを確認している。

 当部会としては、TPP締結による国民生活への影響は極めて大きいと考えており、国内での十分な議論なしに年内妥結されることに対して、強く抗議する。

 TPP交渉は、21分野という極めて広範囲にわたって行われるものであり、食の安全や環境・労働、国民生活に不可欠な各種サービスなど、国民の生活に大きな影響を及ぼす分野が交渉の対象となっている。そして、それらの分野においては例外規定に該当しない限り、完全な自由化が求められるとされている(ネガティブリスト方式)。つまり、TPP交渉のなかで適用除外項目として確認されていない限り、完全自由化の対象になるということである。しかも、現在、日本政府は、ネガティブリストに載せる提案事項についてすら、秘密保持契約を根拠に明らかにしようとはしていないため、TPPが締結された後に、国民の予想に反して、多くの分野で完全自由化がなされたことが判明するという危険性もある。

 また、投資分野においては、外国の投資家や企業が、進出国において相手国政府の法律や行政上の不備等で損害を被った場合、相手国政府に対する損害賠償を相手国の司法手続ではなく国際仲介機関による解決に付託できる手続き(投資仲裁手続)を定めた条項(いわゆるISD条項)を入れることが見込まれる。この紛争解決制度は、国内の具体的な争訟事件であるにも拘わらず、日本の裁判所が関与できない仕組みであり、司法権を一元化している日本国憲法76条1項に反する。また、このような訴訟が頻発することにより、政府が巨額の損害賠償義務を負うことを恐れて、政策決定を自由に行うことができないという国民主権原理(憲法前文、1条)に反する事態が生じる恐れもある。

 以上の点は、既に当部会大阪支部作成の「TPP参加に反対する意見書」(2013年4月22日付)においても指摘しており、このままTPPを締結すれば、未だに国民の生命・身体・健康・財産を保護するために行う国家の規制や、日本固有の司法権のあり方、さらに国民主権原理についても大きく改廃を迫られる危険が払拭されないままである。

 国民生活に多大な影響が出るTPPへの参加の是非や参加した場合の内容が、十分な情報による国民的議論なしに決められ、国会にすら十分な情報が提供されないことは、およそ憲法に定められた国民主権(憲法前文、1条)や国民の知る権利(同21条1項参照)、国会の最高機関性(同41条)に反し、到底容認されるものではない。しかも、与党である自由民主党は、2012年12月の衆議院議員選挙において、当選者295名中205名が公報等で「TPP参加反対」を表明していたのであり、これまでのTPP交渉参加及び締結に至る行為は、国民に対する明らかな裏切り行為であって、この点からも国民主権原理に反する。

 にもかかわらず、現状のままTPPの年内妥結を行うことを目標とする政府の姿勢に対して、強く抗議するとともに、現在のTPP交渉から脱退することを求める次第である。
2013年12月6日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
 第 3 回 常 任 委 員 会
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