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「1 票の格差」を是正するとともに、
民意を反映する選挙制度への抜本改正を求める声明
1 2012 年 12 月衆院選小選挙区の「1票の格差」をめぐり、全国14 高裁及び高裁支部で起こされた訴訟(のべ 17 件)の判決が出そろい、「違憲・無効」が 2、「違憲」が13、「違憲状態」が 2 となり、「合憲」はゼロという結果であった。
 このうち 3 月 25日広島高裁判決で筏津順子裁判長は、「民主的政治過程のゆがみは重大で、もはや憲法上許されない事態に至っている」と述べ、格差は違憲と判断し、戦後初めて選挙無効の判決(ただし、無効の効力が発生するのは 2013 年 11 月27日から)を言い渡した。
 翌 26 日広島高裁岡山支部判決で片野悟好裁判長は、「投票価値の平等は、国民主権・代表民主制のもとにおいて、最も重要な基準とされるべき」であり、「長期にわたって投票価値の平等に反する状態を容認することの弊害に比べ、無効と判断することによる政治的混乱が大きいと直ちにいうことはできない」と述べ、猶予期間を設けずに判決確定後ただちに無効となるとの判決を言い渡した。
 これらの判決に先立って出された2011年3月23日の最高裁大法廷判決は、2009 年 8 月衆院選の選挙区割りが、都道府県にまず 1 人を割り当てた後に、人口比例で定数を確定する「一人別枠方式」を採用していたことについて、投票価値の平等と相容れない作用を及ぼすとして「違憲状態」と判断した。それと同時に、国会に対して合理的期間内に不平等状態を解消するよう国会に求めた。
 ところが、同年 11 月に緊急是正法(いわゆる「0 増 5 減法」)が成立し法文上は一人別枠方式が廃止されたものの、具体的な区割りまでは是正されておらず、2012 年12 月衆院選は違憲状態とされた区割りのまま行われたのであった。
 最高裁で「違憲状態」であると警告を受け、是正が強く求められていたにもかかわらず、選挙区割りの見直しを怠り、さらに格差を拡大させたまま衆院選を実施した国会の怠慢は許されない。

2 国会が国権の最高機関(憲法 41 条)たる由縁は、国会を構成する議員が国民の平等な参政権の行使によって選出され全国民を代表することによる。国民が選挙権の行使を通じ国政に参加することは憲法前文、43 条 1項が定める民主主義国家の基本原理であり、国民の参政権は憲法 44 条ただし書が定めるように人種、信条、性別等によって差別されないことは当然であるが、住所によって投票価値に較差を生じさせることもまた参政権の平等を侵害するものであり憲法 14 条 1項、15 条 1 項、43 条1 項、44 条ただし書、47 条に違反する。
 投票価値の不平等を看過し違憲状態のまま国政選挙を繰り返すことは、国民に対する参政権の侵害であるとともに、国会の最高機関性を揺るがすことにつながる。

3 今回の一連の判決で、15 もの高裁及び高裁支部の裁判体が 2011 年最高裁判決の「違憲状態」の判断をさらに推し進め、「違憲」「違憲無効」と判断したことは極めて重大な意義を持つ。「もう次はない」という司法からのメッセージを国会は受け止め、民意を適正に反映する選挙制度を創らなければならない。
 ところが、政府・与党は、小選挙区定数を「0 増 5 減」する公職選挙法改正案を検討し、「1票の格差」を 2 倍未満に収める小手先の改正でお茶を濁そうとしている。本年 3 月7 日札幌高裁判決で橋本昌純裁判長が、緊急是正法は、「必要最小限の改定にとどめようとしたものにすぎず、1票の価値の平等を求めた最高裁判決に沿った改正とは質的に異なる」として、「0 増5 減では投票価値の平等を実現するために不十分である」と断じていることを銘記すべきである。

4 現行の選挙制度の中で、特に小選挙区制は1票の格差が生じやすく、死票が多い制度であって、国民の中にある多様な民意を適正に反映するという機能が弱い。現に、2012 年 12 月衆院選では、自民党は小選挙区において 43%の得票で 79%もの議席を獲得している。
 そこで、例えば比例代表を中心とする制度や中選挙区制度など、民意をより反映する制度を導入することを含めた抜本的な選挙制度の改革について討議すべきである。そうすることで、民意の適正な反映と1票の格差是正が図られることになる。
 私たち青年法律家協会弁護士学者合同部会は、衆院および参院に対して、1票の格差是正を早期に実現するとともに、民意を忠実に反映する選挙制度への抜本的な改正に向けて討議するよう強く求める。
2013年4月16日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
議 長   原  和 良
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