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| 大阪IR(カジノ)計画の即時撤回を求める決議 |
1 2025年10月、大阪・関西万博2025が閉幕した。国際的イベント会場と同じ大阪湾の人工島・夢洲では、万博期間中もIR・カジノ開業へ向けた準備が着々と進められていた。そもそも、わずか半年のイベントに巨額の公金が投じられたのは、2030年開業予定のIR(カジノ)開業に向けたインフラ整備という「地ならし」のためであったと考えざるを得ない。
2 カジノは、他者の不幸や経済的困窮を前提として収益を上げるものであり、その合法化は、ギャンブル依存症の増加、多重債務問題の拡大、反社会的勢力の関与、マネーロンダリングの温床、地域の治安悪化など、深刻な社会的弊害をもたらす。とりわけ近年、スマートフォン等を通じた「オンラインカジノ」が急速に蔓延し、多重債務や闇バイトへの加担など深刻な社会問題に影響をもたらしている現状において、カジノ施設を新たに設置することは更にその弊害を顕著なものとする危険がある。
政府や大阪府市は「万全の依存症対策」を強調するが、実効的な対策案は示されておらず、それどころか「無知」を晒している。2026年1月、大阪府が作成した違法オンラインカジノ啓発動画が「ギャンブル依存症への誤解と偏見を助長する」として専門家や当事者からの厳しい批判を受け、わずか数日で公開停止に追い込まれた事態はその象徴である。依存症が適切な治療や支援を要する疾患であるという本質すら理解せず、解決策として精神論や根性論を押しつける行政に、市民の健康や平穏な生活を守るための実効性ある対策を講じることなど不可能である。
3 IR会場である人工島・夢洲は、もともとはゴミの埋立最終処分場であり、今でも深刻な土壌汚染の問題や地盤沈下・液状化の懸念が払拭されていない。南海トラフ巨大地震の発生が危惧される中、十分な災害対策や避難経路を確立しないまま、軟弱地盤である夢洲に多数の市民や来場者を呼び込むことは安全軽視甚だしく、いのちと安全を脅かすものである。
4 大阪IR計画の是非を巡っては、その可否を住民投票によって決めるべきとの切実な民意から、法定数を大きく上回る多数の市民署名が集められ、2022年4月に住民投票条例案が直接請求された。しかし、大阪維新の会が多数を占める大阪市議会は、この圧倒的な民意を数の力によって即時に否決し、住民投票を阻止した。
また、大阪市長は、「カジノには一切税金を使わない」との公言をあっさりと翻し、土壌汚染や液状化対策等に約790億円もの巨額の公金投入を決定した。これには地盤沈下対策費用が含まれておらず、将来的な青天井の負担増が危惧されている。さらに、IR事業用地の賃料算定においては、不動産鑑定業者数社の評価額が奇妙に一致するなど、結果ありきの「官製談合」の疑いが強く指摘されている。
不透明な公金投入・不当な土地賃料設定に対し、現在、大阪地方裁判所には、IRをめぐり計6件もの住民訴訟が係属している。司法の場においてこれほど多数の違法性が追及されている事実は、大阪IR計画が適正な手続と財政民主主義を軽視して進められてきたことへの多数の市民の懸念、不信の存在を端的に示すものである。
5 夢洲でのIR(カジノ)計画は、その是非を住民投票で決するべきであるという民意を軽んじたうえ、税源から巨額の公費を投じて進められており、将来の市民に計り知れない負担と損失を押し付ける不当なものである。カジノ解禁による経済活動は、ギャンブル依存症をはじめとする他者の不幸を前提とするものであり、市民の平穏な生活と安全を破壊する危険を孕んでいる。
青年法律家協会弁護士学者合同部会は、憲法が保障する住民自治(第92条)や個人の尊厳(第13条)の理念と明確に相反する大阪IR(カジノ)計画の即時撤回を求める。
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| 2026年6月28日 |
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 5 8 回 定 時 総 会 |
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