律家会弁護士学者合同部会
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高市政権による一連の軍事化政策に強く抗議し、
平和主義と基本的人権を守り抜く決議
 2026年2月8日の衆議院総選挙以降、高市早苗政権は、国家権力を肥大化させ、日本を軍事化させる政策を推し進めている。
 以下に述べる高市政権の政策や姿勢は、わが国の平和主義や基本的人権を脅かすものであり、容認することはできない。

 高市政権は、2026年4月21日、武器輸出を制限する防衛装備移転三原則と運用指針の改定を閣議決定することにより、輸出目的を限定する「5類型」(救難、輸送、警戒、監視、掃海)を撤廃し、武器輸出を全面的に解禁した。
 憲法の前文および9条が、戦力の保有を禁止し、国際紛争の解決手段としての戦争を禁止し、世界の諸国民に平和的生存権があることを宣言している以上、全面的な武器輸出を可能とするこの閣議決定は、そもそも憲法違反である。
 さらに、武器輸出の全面解禁は、国際社会から日本が、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しよう」(憲法前文)という平和主義の精神を捨て去ったとの評価を招くものであり、外交上の損失も大きい。

 2026年5月27日には、国家情報会議設置法案が参議院で可決され、成立した。
 同法は、時の政府の判断で国家情報会議が各行政機関の保有する個人情報を横断的に取得・利用することが許される法的枠組みとなっているにもかかわらず、独立した監督機関(第三者機関)は設置されていない。
 このように歯止めのない個人情報の収集や利用によって国家権力を肥大化させる同法は、個人のプライバシーの権利(憲法13条)を侵害するおそれがある上、政府に批判的な意見を持つ市民の思想・良心の自由(憲法19条)や表現の自由(憲法21条1項)に重大な萎縮効果を及ぼすものであり、憲法違反である。
 なお、高市政権は今後さらにスパイ防止関連法制の整備を行う方針を示しているところ、これも同様に憲法13条、19条、21条1項などに違反する可能性が高い。

 高市政権は、その他にも日本を軍事化・権威主義化させる政策を推し進めようとしている。
 高市首相は、2026年4月12日の自民党大会で、改憲発議に目途が立った状態で1年後の党大会を迎えたいと発言するなど、自衛隊明記や議員任期延長の憲法改正の推進を宣言している。
 また、政府は、2026年4月27日から、軍拡につながる軍事費(防衛費)のさらなる増額や安保三文書の改定前倒しに向けて、有識者会議を開催している。
 2026年6月16日には、自民党、維新の会、国民民主党、参政党の4党は、国旗損壊処罰法案を国会に提出した。同法案は、そもそも立法事実がなく、市民の思想良心の自由(憲法19条)、表現の自由(憲法21条1項)や財産権(憲法29条1項)を侵害する上、刑罰法規に求められる明確性(憲法31条)も欠いており、明白に違憲である。
 そして、政府は、自衛隊が軍隊でないとの理由から用いてきた幹部階級の呼称を変更し、旧日本軍や諸外国の軍隊と同様の呼称に変更する方針だと報じられている。
 さらに、高市首相は、アメリカとイランの停戦合意後に、ホルムズ海峡の機雷除去のために海上自衛隊の派遣を検討しているとも報じられている。
 これらの政策は、平和主義や基本的人権の尊重といった憲法の趣旨に反するだけでなく、わが国の市民の生活にとっては有害無益と言わざるを得ない。

 一方、高市政権の軍事化政策と歩調を合わせるかのように、自衛隊を巡る問題が立て続けに発生している。
 2026年3月14日、陸上自衛隊の現役幹部自衛官が刃物を持って中国大使館の敷地に侵入し、逮捕された。自衛官が大使館へのテロ行為未遂を起こしたものであり、日本側に全面的に非があるにもかかわらず、高市首相や小泉進次郎防衛大臣は現在まで謝罪を行っていない。
 また、2026年4月12日の自民党大会において、陸上自衛隊中央音楽隊所属の自衛官が制服姿で国歌を歌うという事件が発生した。本件についても、政府側は頑なに非を認めなかったところ、自衛隊員の政治的行為を禁じた自衛隊法61条違反の疑いで、弁護士らによる刑事告発が行われている。
 高市政権が軍事化政策を進める中で、国歌の「暴力装置」である自衛隊の規律が弛緩し、政府もそれを容認している現状は、危機的な状況であると言わざるをえない。

 高市政権の上記のような政策などは、市民の権利や生活よりも軍事を優先するものであり、日本の平和主義や市民の基本的人権にとって危険な政治姿勢である。
 当部会は、日本国憲法を擁護する立場から、高市政権の進める一連の軍事化政策や明文改憲の推進に強く抗議するとともに、日本国憲法に反する個別の立法や政策に対して、全力を尽くしてたたかい、平和主義および基本的人権を守り抜くことをここに決議する。

2026年6月28日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 5 8 回 定 時 総 会
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