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米国政府とイスラエル政府によるイラン攻撃に強く抗議し、
日本政府に平和的解決に向けた外交努力を尽くすことを求める決議
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1 米国政府とイスラエル政府によるイラン攻撃
2026年2月28日、米国・イスラエル両政府は、イランに対して大規模な軍事攻撃を開始した。この攻撃によりイランの政治的・宗教的指導者らが殺害されたほか、女子小学校に対する米国政府の空爆により少なくとも175名の子どもたちが殺害された。その後も両政府による病院や住宅など民間施設も含む爆撃によりこれまでに子どもを含む1000人以上の民間人が犠牲となり、被害は拡大し続けている。
2 国連憲章および国際人道法に違反する違法な軍事攻撃であること
国連憲章第2条4項は、武力による威嚇および武力の行使を原則として禁止している。例外的に武力の行使が許容されるのは、国連安全保障理事会の決定に基づく強制措置の場合(国連憲章42条)か、他国からの武力攻撃に対する自衛権の発動の場合(国連憲章51条)のみであるが、今回の事態はそのいずれにも該当しない。イラン政府の核兵器保有疑惑を口実とした先制攻撃は何ら正当化されず、自衛権の行使とは認められない。
民間施設・民間人を標的とした攻撃は、国際人道法に明白に違反するものであり、戦争犯罪に他ならない。米国政府とイスラエル政府は戦争犯罪を直ちにやめるべきである。
3 侵略戦争を黙認する日本政府の姿勢は許されない
両国政府による違法な軍事攻撃に対し、日本政府は明確な抗議を回避し、事実上黙認する態度をとっている。
日本政府はこれまで、ロシア政府によるウクライナ侵略や中国政府の覇権主義的な行動に対して、「法の支配」を重視し「力による一方的な現状変更の試みは決して認められてはならない」と厳しく批判してきた。今回の米国・イスラエル両政府による明白な国際法違反を批判しないことは、これまでの主張の根拠を自ら掘り崩すものであり、恥ずべきダブルスタンダードである。
また、米海軍横須賀基地を母港とするイージス艦2隻がアラビア海に展開し、トマホークを使ってイラン攻撃を行ったとの報道があるが、このような米国政府の横須賀基地利用について、米国政府が日本政府との間で事前協議を行っていないことは、日本防衛以外の目的で米軍が日本国内の基地から直接戦闘に出撃する場合の事前協議義務を規定した「岸・ハーター交換公文」(1960年)に反するものであり、この点についても日本政府は米国政府に対し厳重に抗議をすべきである。
4 日本政府は、平和的解決のための外交的努力を尽くすべきである
高市政権は、GDP比5%の防衛費計上を求める米国政府の要求に積極的に応じ、武器輸出の緩和も検討し、自衛隊を明記する憲法改正にも意欲を示している。国連憲章違反の軍事行動を繰り返す米国政府は、今後日本に対して自衛隊の派遣を要求する可能性もある。日本政府が今回のイラン攻撃に伴うホルムズ海峡閉鎖をもって安保法制上の「存立危機事態」にあたると判断し、自衛隊を派遣して武力行使を行う危険もある。
しかし、米国政府の違法な戦争や武力行使に加担することは日本国憲法9条に明らかに反するものであって絶対に許されない。国際法的にも、日本が違法な米国政府の戦争に加担することは違法であるし、関与の仕方によっては戦争犯罪として国際刑事裁判所に訴追される可能性もあり到底許されない。
日本政府がすべきことは、米国政府とイスラエル政府に対し、国連憲章および国際法に違反する武力行使を直ちに中止するよう強く求め、どの国であっても「力による現状変更」は認められないことを明言すること、そして日本国憲法9条に基づき、日本政府は一切の武力紛争に関与しないという立場を表明した上で、紛争当事者・関係各国に対し、平和的解決のための交渉に戻るよう全力を尽くすことである。 |
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| 2026年3月14日 |
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 4 回 常 任 委 員 会
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