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誤判冤罪事件の教訓を踏まえて速やかな再審法改正を求める決議
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2024年9月26日の袴田事件再審無罪判決(確定)、2025年7月18日の福井女子中学生殺人事件の再審無罪判決(確定)を受けて、再審法改正への機運がより一層高まっている。
誤った有罪判決は近代法治国家においては絶対にあってはならない。そのために法は再審制度を設けているが、現実には、再審制度が機能不全を起こしている。袴田事件では事件発生から再審無罪判決確定まで58年もの年月がかかってしまっている。その他の再審事件も解決まで長期化し、現在においても未解決のまま再審請求をし続けている事件も多数存在しており、再審法改正にもはや一刻の猶予もない状態にある。
そもそも刑事再審は新憲法、新刑訴法制定後も戦後長らくの間「開かずの扉」と言われ、多くの人たちの無実の訴えに司法は冷淡な対応を示し続けていた。
しかしこれに抗して、無辜の救済のために多くの在野法曹、研究者が共同研究などの形で奮闘し、1975年の「白鳥決定」(最決昭和50年5月20日)、1976年の「財田川決定」(最決昭和51年10月12日)によって再審においても「疑わしきは被告人の利益に」という「鉄則」が適用されることが示され、その後死刑判決の見直しを含む再審開始、無罪判決が認められるケースも出てきた。刑事再審実務の一進一退が続く中、再審における「証拠開示」の問題などいくつかの具体的な事件において裁判所の対応が裁判官によって大きく異なること(いわゆる「再審格差」)がクローズアップされるようになってきている。
そのような中、「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」(再審法改正議連)が、えん罪被害者、最高裁、法務省、日本弁護士連合会等からのヒアリングを踏まえ、2025年6月18日に、@再審請求手続における証拠開示の制度化の実現、A再審開始決定に対する検察官による不服申立ての禁止などを内容とする「再審法改正案」(正式名称:刑事訴訟法の一部を改正する法律案)を議員立法により衆議院に提出した。その一方で、法務省は法制審議会に諮問して刑事法研究者らを動員しながら再審法改正を矮小化しようとしている。
当部会は、冤罪事件の弁護を担当する会員が多数在籍しており、日々、無辜の救済のために奮闘しているところであるが、多数の著名再審事件が示すとおり再審制度の改革は喫緊の課題であることから、法制審による議論を待つまでもなく、現在国会に提出されている再審法改正案の速やかな成立を求める。
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2025年9月6日 |
青年法律家協会弁護士学者合同部会
第 2 回 常 任 委 員 会
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